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 蘭と結婚して、一人娘の譜和が生まれた。あの可愛い譜和の寝顔と安心しきった蘭の顔は忘れられない。  蘭が産休に入ると、俺は今以上に仕事に取り組み、プロジェクトリーダーを任せられた。  疲れた顔を隠して家に帰り、家事をして皆のご飯を作った。偶に作ってくれた蘭の料理は美味しかったな。  譜和が初めて自力で歩き出した辺りで、俺の両親の元に行って譜和の歩ける姿を披露した。その両親の顔は忘れない。  俺の少ない語彙力じゃ説明できない程に嬉しそうだった。  その後、親父とのサシ飲みで「ありがとう。孫を見せてくれて。最高の親孝行だった」と言われ、「俺は譜和が一人前になるまで、親孝行は続けるつもりだ。だから、それが終わるまでくたばるな」とにじみ出る涙を目に貯めながら、日本酒を注ぎながら言った。
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