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 蘭の両親に娘の保育が頼める目途が立った辺りで、俺は社長や部長に蘭が職場復帰できるよう皆に頭を下げた。  産休明けの職場復帰が敬遠されがちな職場だったので、理解を得るのに苦労した。  だが、俺に世話になったという後輩や先輩たちの後押しもあり、蘭が弊害なく職場復帰できた。仕事もその分忙しくなり、帰りも遅くなった。  「おかえりなさい。パパ」と玄関先で待っている蘭と譜和の笑顔を見ると、明日も頑張れるような気がした。  それとほぼ同時に芝生の海岸近くに家を建てた。家の二階からは海が一望できる海風が肌を撫でる場所だった。  その頃には譜和は六才になった。偶に譜和と一緒にお風呂に入ったり、蘭が買ってあげた花の図鑑を片手に花畑に行ったり、芝生の海岸で遊びに行った時もあった。そこで昔事故に会った時に助けてもらった人に会ったり――  思い返せば、楽しい人生だったな。でも、そろそろ眠くなってきたな。
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