26人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、樹」
「う、うん……」
早く授業終わらせて絵を描きたい。
「は、春沢さん!」
「な、何ですか?」
私が席に着いた瞬間、立花くんが声をかけてきた。
「きょ、今日も良い天気だね」
「えっ? もうすぐ雨……」
何だろう?話しかけて来るなんて珍しい。
「お、俺! 雨好きだからさー!」
「う、うん」
何が言いたいのかな。
「あ、あの……美術部って見学……」
「へ?」
「あっ! 樹、見っけー!」
「メール無視とかひどくない!?」
「えっ……あの……」
立花くんの元へ突然女の子達が群がる。
「ありゃりゃ」
「やっぱりポンコツ樹」
「見てないで助けてよー! 愁! 依織!」
やっぱり、立花くんもチャラい人なんだなぁ。
5限は数学の授業だった。完全なる文系の私には辛い時間だ。
「先生、この解き方で宜しいですか?」
「ああ。正解だ。流石東城だな!」
クラス委員の東城さんは難問も簡単に解いてしまう。流石学年トップ。
美人で頭良くて素敵な人だよね、東城さん。
「依織、見すぎ」
「み、見てないし」
「へぇ?」
「立花、藤崎! 私語は慎め」
「はぁ、樹の所為で怒られた」
「えー! 俺の所為ー? ひどいよ、依織ー!」
「立花、この問題を解いて貰おうか」
「はーい」
しょんぼりしながら黒板の前に立つ立花くん。
けど、立花くんって確か……。
「これで良いですか?」
「せ、正解だ」
難問をさらりと解いてしまった立花くんに皆が驚く。
「樹って意外と頭良いよね」
「見た目とのギャップ超あるー」
すごいな、私全然分からなかった。
一瞬、立花くんと目が合う。
だけど、私は慌てて視線を逸らす。
「さて、最後の問題は……春沢、頼む」
突然、先生に指された私は驚く。
どうしよう、全然分からない!
「春沢?」
「は、はい……」
私は立ち上がる。その瞬間、大きくお腹の音が鳴ってしまった。
「返事よりお腹の音のが元気だな?」
先生が言うと、クラスの皆が笑い出す。 恥ずかしくて恥ずかしくて泣きたい。
「あ、あの……考えたんですけど、分かりません」
「そうかー。じゃあ、藤崎」
「はい」
ああ、ご飯食べてから絵を描く習慣つけるべきだった!
何で昼休みにインスピレーション湧くかなぁ!!
最初のコメントを投稿しよう!