Chapter1. 春沢菜乃という女の子。(菜乃side)

5/5
前へ
/74ページ
次へ
「おはよう、愁ー」 「おはよ、樹」 翌日、私は周りを気にしながら教室へ。イタズラしそうな人、誰だろう? 「春沢さん!」 「きゃっ!」 私はいきなり立花くんに声をかけられ、声を上げる。 「ご、ごめん。驚かせた……」 「わ、私こそごめんなさい」 「どうかしたの? なんかビクビクして」 「え、えっと……」 もし、立花くんやその友達がイタズラの犯人だったら? ストーカーじゃないだけマシだけど、本気にしたってからかわれる!? でも、そんな悪い人ではなさそうだし、疑うのは……。 「な、何かあったら俺に話して? はるさ……クラスメイトの力になりたいんだ」 立花くん……。 「で、でも……」 「もしかして、俺って頼りないかな」 「そ、そんな事……」 「大丈夫。遠慮なく話して!」 「じゃ、じゃあ……昨日下駄箱に誰からか分からない手紙が入っていて……私に対する褒め言葉や愛の言葉が書かれてたの」 「えっ!」 「わ、私なんかをストーカーする人はいないと思うんだけど……」 「す、ストーカー……」 「ご、ごめん! 多分悪戯かもだし、こんな事を言われても困るよね」 やっぱり話すべきじゃなかったかな。 勇気を出して話しては見たものの。 「あ、あのさ! 春沢さん、もしその子が本当に春沢さんの事が好きで、けど上手く口にして伝えられなくてラブレターという形でしか伝えられない子だったら?」 「へ?」 「お、俺の友達もさ……好きな子がいるけど、上手く伝えられなくて。古いかもだけど、ラブレターで告白したって」 「で、でも….…私なんかを好きになるわけ」 「そんな事無い! 無いから!」 「立花くん……?」 立花くんは真剣な眼差しで私を見つめる。 「な、何かあったらすぐに俺に言って。ストーカーとか悪質な悪戯をする人だったらやっぱり捕まえなきゃだし」 「あ、ありがとう」 立花くんの言う通り、ただ告白って可能性もあるのかな。 けど、私はクラスの人と殆ど話さないし、あり得ないよ……。 「樹ー!」 「はーい! じゃ、じゃあ……」 立花くんは友達の元へ。 あんなに話したの初めてだなぁ。昨日も少し話しかけられたけど。 「立花って本当かっこいいよね」 「遊びに行く女の子はたくさんいるけど彼女いないんでしょ? 本当かなぁ」 クラスの女の子達が立花くんを見て今日も噂をしている。 樹……立花……I.T……。 いやいや、あり得ないよ。だってさっき立花くん、私を心配してくれたし。 きっと優しい人……だよね?
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加