26人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよう、愁ー」
「おはよ、樹」
翌日、私は周りを気にしながら教室へ。イタズラしそうな人、誰だろう?
「春沢さん!」
「きゃっ!」
私はいきなり立花くんに声をかけられ、声を上げる。
「ご、ごめん。驚かせた……」
「わ、私こそごめんなさい」
「どうかしたの? なんかビクビクして」
「え、えっと……」
もし、立花くんやその友達がイタズラの犯人だったら?
ストーカーじゃないだけマシだけど、本気にしたってからかわれる!?
でも、そんな悪い人ではなさそうだし、疑うのは……。
「な、何かあったら俺に話して? はるさ……クラスメイトの力になりたいんだ」
立花くん……。
「で、でも……」
「もしかして、俺って頼りないかな」
「そ、そんな事……」
「大丈夫。遠慮なく話して!」
「じゃ、じゃあ……昨日下駄箱に誰からか分からない手紙が入っていて……私に対する褒め言葉や愛の言葉が書かれてたの」
「えっ!」
「わ、私なんかをストーカーする人はいないと思うんだけど……」
「す、ストーカー……」
「ご、ごめん! 多分悪戯かもだし、こんな事を言われても困るよね」
やっぱり話すべきじゃなかったかな。
勇気を出して話しては見たものの。
「あ、あのさ! 春沢さん、もしその子が本当に春沢さんの事が好きで、けど上手く口にして伝えられなくてラブレターという形でしか伝えられない子だったら?」
「へ?」
「お、俺の友達もさ……好きな子がいるけど、上手く伝えられなくて。古いかもだけど、ラブレターで告白したって」
「で、でも….…私なんかを好きになるわけ」
「そんな事無い! 無いから!」
「立花くん……?」
立花くんは真剣な眼差しで私を見つめる。
「な、何かあったらすぐに俺に言って。ストーカーとか悪質な悪戯をする人だったらやっぱり捕まえなきゃだし」
「あ、ありがとう」
立花くんの言う通り、ただ告白って可能性もあるのかな。
けど、私はクラスの人と殆ど話さないし、あり得ないよ……。
「樹ー!」
「はーい! じゃ、じゃあ……」
立花くんは友達の元へ。
あんなに話したの初めてだなぁ。昨日も少し話しかけられたけど。
「立花って本当かっこいいよね」
「遊びに行く女の子はたくさんいるけど彼女いないんでしょ? 本当かなぁ」
クラスの女の子達が立花くんを見て今日も噂をしている。
樹……立花……I.T……。
いやいや、あり得ないよ。だってさっき立花くん、私を心配してくれたし。
きっと優しい人……だよね?
最初のコメントを投稿しよう!