将来保証計画そばかす

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将来保証計画そばかす

「もうやだぁぁぁ」 ユキちゃんが泣いていた。男の子たちにからかわれて泣いていた。僕は勇気が出なくて助けられなかった。ただ泣いているユキちゃんを見て僕は勇気を振り絞る。 「ユキちゃんのそばかすは可愛いよ!僕は好きだから!」 ユキちゃんは目をきょとんと丸くする。僕の顔を覗きこんで、本当に?って涙を堪えながら聞いてきた。僕は頷き、正直に本当のことを告げる。 「本当だよ!可愛いよ!僕は大好きだよ!」 真っ青な空に包まれた幼稚園のときの夏。そのときからユキちゃんと僕は親友になった。 幼い子供のころはまだ良かった。お金なんかなくてもエキサイティングだった。公園だったり、裏山だったり、川だったり、時間さえあればユキちゃんと近所をあちこち回ったものだけど、少しずつ年を重ねて、僕はお金の必要性に気付いた。まわりのみんなはカラオケだったり、喫茶店だったり、ボーリングだったり、お金が必要な遊びをはじめる。 僕だってユキちゃんを少しでも楽しませたいのだから、そんな遊びに連れていきたかった。ただ僕は絵を描くのが好きでお小遣いを全て画材につぎ込んで、いつも金欠だった。
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