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親しく過ごすようになって半年。
はじめて
お相手の方の自宅に上がることになった。
男性の部屋にひとりで行くのは
生まれて初めて。
行き先や帰宅時間を告げずに外出する事が
許されない家庭だった私は、
休日の朝早い内に
クラスの親友と口合わせをして
家に事実を伏せたまま
彼の最寄りへと向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
乗り換えを挟んで40分くらい。
見慣れない車窓の風景が新鮮で、
彼の日常を垣間見るような感覚に
心は揺れていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「いらっしゃい。
時間通りだったね^^」
改札で見慣れた笑顔と共に迎えてくれる。
馴染みのない駅なのに、
スッと入っていけるのは、
変わらぬ彼の微笑みからなのだろう。
「今日は よろしくお願いします^^」
そのまま一緒に、自宅へと向かう。
駅のそばではあるけれど、
途中、スーパーやドラッグストアの場所や、
主要な目印など
丁寧に教えて貰った。
……………………
「はい。到着。ここの3階。」
スッキリとした白いアパート。
「男の一人暮らしだから、何もご期待には添えないと思うけど 笑」
16歳の私にとって、
一人暮らしをしている“大人"は
ただそれだけで
自力した
遠い存在のようだった。
「お邪魔します。」
几帳面に整頓された部屋。
窓からの光。
……Rさんの 家の匂い……
「こっちね。狭いけど。
椅子一つなんだけど、
ベッドに座っていいから。」
「はい^^ ありがとう。」
PCデスクと椅子が1つ、
医療関係の分厚い本が並ぶ本棚。
以前見せてもらった画集も、そこに並んでいる。
眼に映るもの全てに興味津々で
クルクルとあちこちを見回してしまう。
白、黒、グレー…
落ち着いた色で統一された部屋は
カラフルな私の部屋とは対照的で
でも、とても落ち着く。
「はい。紅茶 どうぞ。」
「ありがとう^^」
「なんだか嬉しそうだね 笑」
Rさんも、カップを手に、私の隣に座った。
「色々 新鮮で^^」
私はカップに口を付けた。
紅茶の湯気が 香りと共に静かに立ち上る。
静かな部屋
カーテンから差し込む 優しい光。
「美雨ちゃん、初めてなんだっけ?
男の家。」
気恥ずかしさに口元を歪めて頷く。
そんな様子を見て、
静かに笑いながらRさんは続けた。
「期待していた物は、何もないでしょ?笑
自分の部屋だと思って、ゆっくりしてね。」
「うん^^
私の部屋より片付いていて、綺麗。笑
…匂いが…落ち着く…。」
「匂い? 何か臭いがする?」
「Rさん家の匂い。……Rさんの、匂いかな。。」
「……そっか 笑」
紅茶を一口飲んでから、彼が続ける。
「俺も…こんな子が部屋に来るのは
はじめてだよ。笑」
Rさんには、何年か同棲していた、歳の近い彼女さんがいた。
2人は3年前に別れていて、
彼女さんは、彼と同じ医療職だった。
「こんな子……?」
私は視線をあげてRさんを見る。
「男慣れしてない子…?かな 笑」
「ん〜〜… だって…、、」
15歳も離れていたら、
お兄さんと子ども みたいな経験差だった。
私が初めてする経験は、
大抵彼にとって初めてではなくて。。
少し悔しいような気持ちに、言葉につまる。
「ぁぁ…そんな顔しないで…。
美雨ちゃんに色々教えてあげられること、
結構 俺も嬉しいんだよ。」
彼はカップを置いて、
私の手を取った。
「…本当に?」
「うん^^ そうだよ。
今日は人目を気にせず側で過ごせるから…」
静かに私を抱き寄せる。
「ずっと…こうしていられるね…
待ってたよ。美雨ちゃんが来てくれるの…」
…………
「…Rさん……」
触れたり触れられたりするだけで
?が染まってドキドキして…
こんなに人の温もりを感じることを許されて
嬉しくて、安らいで…
Rさんは 私の額に軽くキスをして言う。
「このままだと、
俺 美雨ちゃんに何かしちゃうかも。笑
だから今日は、この間話していた映画、
一緒に見よ^^」
「…!/// …借りて来てくれたの?」
「ん〜〜? 顔赤くして、
何か想像 したのかな?^^」
「〜〜// 何もしてないよぅ !(> <;)」
動揺する私を 撫でながら宥める。
「よしよし^^
理性の塊の美雨ちゃんだもんね?笑
お誕生日までは、我慢しよ?」
にこやかな表情と変わらぬ口調で
余裕を感じさせられる。
私が17になるまでの数ヶ月間、
こんな調子で、
彼の家で週末を過ごす日が
増えていった。
……つづく☆
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