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学校の課題や 部活の作品制作に明け暮れている内に 瞬く間に時間は流れた。 夜、 『来週の土曜日』の件名で 仕事を終えたRさんからメールが届いた。 待ち合わせ場所。時間。 それから…前に話した持ち物、 忘れずにね^^ …って。。 念の為 って、 着替や生理用品も 必要かもよ。 って。 前にチラッと話してくれた。 私は全然知識がなくて、 保健体育では何も教えてくれないし。 なんで必要かも よく分からないまま でも、 忙しいRさんに、 細々質問メールをしたくなくて 言われた通りに 準備した。 夏服は 1セットにしても 薄くて軽い。 家を出るときに 身内が気づかなければ問題なかった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ホームでRさんを見つけて、 お互いに歩み寄る。 いつもは改札口だけど。 この駅では、ホーム待ち合わせ。 これも、彼のご指定。 「おまたせ〜^^」 「俺も 今着いた。タイミング良かったね ^^」 普段通りの笑顔。 まだ 平気。 冬はブラックベースな私服が多いRさん、 対して夏は、ホワイトベース。 普段の仕事着も、 こんな印象なのかな… 一瞬思いを馳せる… 〜〜〜〜〜 まだ朝早い、涼しい時間帯。 人は疎らで 昨夜からの酔い明けの大人たちが 街中に残っている。 飲み物を多めに買って… 今日… 口数、少ない気がする… 気の…せい かな、、 ホテル街に近い路地に入ると それまで繋いでいたRさんの手が 私を更に側に引き寄せた。 1人の時には、踏み入れることのなかった道。 書体も様々なホテルの看板。 綺麗なお姉さん、 スーツのおじさん… ホストのお兄さん… チラッと見えるけど 直ぐに消えていく。 ただ道を歩いているだけなのに ここを歩いている事を、 誰にも見られてはいけないような気持ち…。 Rさんに手を引かれ、 1つの建物のエントランスを降りる。 噴水の音が、足音を消していく… 少し…ドキドキするけど… まだ…平気… 〜〜〜〜〜〜 ドアを抜けると ライトで照らされる沢山の部屋の写真と ボタンのついたパネル… 価格が何種類かあって… 泊まらないのに…こんなに…高いんだ…… いっぱいあって部屋の違いすら分からない… エントランスに入って 選択ボタンを押すまで Rさんの動きは 驚くほど速やかだった。 ここで話してはいけないような雰囲気を感じて Rさんにピッタリくっついていた。 エレベーターを待つ… ……エレベーターから降りてくる人に、 会う事もあるのかな… だとしたら…お互いに恥ずかしいな… なんとなくRさんの顔が見られなくて きょろきょろと、ビルの内装に目をやる。 “チン" 静かなベルにエレベーターの扉が開く。 誰も乗っていなかった… けれど 私達が乗ったときに エントランスに入ってきた 女性の声が聞こえた。 …………。 心なしか 鼓動が高鳴ってきた気がする… エレベーターの扉が閉まった。 ………ぁぁ… どうしよう… 来ちゃったけど… なんか… 独特の匂いと雰囲気… ……… 私の様子を察したRさんが 私の髪をそっと撫でて、髪に優しく口付けた。 Rさんの胸元のシルバーが チャリ… と音を立てる。 普段、一緒にエレベーター 乗ってるのに… なんで… なんで こんなに … ドキドキしちゃうんだろう… 急にこみ上げ出した緊張と エレベーターを降りた瞬間見えた たくさんの扉… 朝だけど、夜空みたいなライトの廊下… 朝… だよね… いま… “ガチャ…" Rさんが扉を開く。 繋いだ手を離せずにいる私を そのまま玄関先に誘う。 ………意外と普通のお部屋みたい… “パタン…" ……! ただドアが閉まっただけなのに、 何故だかビクっとした。 靴を脱ごうと振り返った次の瞬間 狭い玄関の壁に Rさんが手をついた。 ……………/// !! 壁に背中を押し付けた姿勢で 唇を奪われる。 長身の彼が狭い空間に屈む姿勢… この … 威圧感が… なんか…変な感じで… でも凄くーーーー 浅めに…でも分け入ってくる舌に 驚きと動揺を隠せない。 とっさにRさんの肩を掴む 力無い 指先 彼の本音を感じるような… そんな キス… チュっ… 小さく吐息が漏れる。 「美雨ちゃん だいぶ緊張しちゃったね。 いっしょにお風呂。入ろうか^^」 いつもの優しい笑顔…… よかった…… 「うん。……うん? ぇ? お風呂…?!」 呆然とする私をよそに、 室内に入るRさん 「休日に、朝からお風呂なんて贅沢も たまには いいよね〜^^」 「そーゆー事じゃないょ〜 >_< 」 お風呂ためてくるね〜 と彼。 とりあえずどうしたら良いかわからなくて いつものお家デートの要領で ベッドに座る。 …しっくりこなくて 彼を追って お風呂場に入った。 「っ……広い… ね…」 蛇口をキュッと回した彼が振り返る 「落ち着かないねぇ 笑」 よしよし。 と 頭をぽんぽんされて そのまま さらっと 抱き上げられた 「〜〜〜〜/// 」 「いいから。 ちょっと 大人しくしなさい。笑」 痩せっぽっちの私は、いとも容易く 肩幅の広いRさんに お姫様抱っこされると どさっ と ベッドに降ろされた。 ベッドに腰を下ろした彼は そのまま私を押し倒す。 ぁぁ… えっと… なんか… Rさんは 指を絡めながら 言う 「まだ 俺 なーにも してないんだけど。笑」 切れ長の瞳を 優しく細める。 何もされてない段階で 既に瞳が潤みそうなくらい赤面して 言葉が出てこないくらいドキドキしてしまう。 「美雨ちゃんの ここ…」 彼は 私の胸に 耳を当てる 「ドキドキ 凄いね…」 もう どうしていいかわからずに そのままRさんを抱きしめる… フフッ と笑うRさん。 「今日はどこまで できるかな……?」 小さく呟くと、 姿勢を直して 私を見た。 「お風呂溜まるまで、 TVとか、つけてみる?」 〜〜〜〜〜〜〜 ……つづく☆
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