ママの結婚から一か月が経ちました。

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「じゃあ、行って来るね。かおり。」 「行ってらっしゃい。瑠威。」 瑠威とママはお互いを熱くみつめあい、そして、濃厚なキスをする… 見てられない! っていうか、ここにいる私のことが、もしかしたら二人には見えてないんじゃないかって思ったりする。 娘の前で、そんなことして恥ずかしくないのか~! と、言いたい気持ちをぐっと堪えて、私はそっと視線を逸らす… いろんな障害があったけど、ようやくママと瑠威は結婚した。 瑠威はバンドを続けながら、家業である建設業もしっかりやってる。 ママもブティックを続けながら、シュバルツのスタッフとして頑張ってる。 もちろん、二人が結婚したことは今もごく一部の人しか知らない。 ママは瑠威よりずっと年上だし、ファンの子達もまさかそんな二人が夫婦だなんて思うわけもない。 「さて、と……」 瑠威を見送ったら、ママは何事もなかったかのように、居間に戻る。 ママはソファに座って、コーヒーを飲みながらワイドショーをぼーっと見てる。 「望結…今日はお昼からだよね?」 「うん。そうだよ。」 「じゃあ、悪いけどお掃除お願いね!」 「はいはい。」 ママは満足そうに頷いて、柱の時計に目を遣るとその場から立ち上がった。 もうじき、ママも出勤だ。 瑠威は働くようになってから、8時少し前に家を出るようになった。 だから、今までより朝食の時間も早くなったのだけど、でも、二人が結婚してからも相変わらずここで三人で暮らしてるから、そのくらいのことは構わない。
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