図書館で働こう

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 園芸部では、夏休み中も4人の部員で朝晩交替で水やりをしている。  部員は1学年2人ずつだから、1週間交替で朝と夕方を担当している。今週は僕たち3年生は朝の当番、来週は夕方の当番だ。  毎日同学年の2人で一緒にやってもいいし、1人ずつにしてもいいけど、僕とタクミは、できるだけ一緒にやることにしている。どちらかが来れないときは1人で水やりをする。  昨日は初バイトのあとに、図書館で勉強して疲れたけど、やっぱり今朝も水やりに来た。  タクミは野菜を育てるのが上手いから、とれた野菜をもらうことも多い。  今日はトマトとナスをたくさんもらった。タクミの野菜はすごく瑞々しくて美味しい。ジン父さんに野菜たっぷりのピザにしてもらおうかな。 「図書館で一緒にいた髪の長い人は、どういう人なんだ?」 「どういう人って、僕の教育係の司書さんだよ」 「あの人は何かが心の底に隠してる感じだな」  タクミは妙に鋭い。もしかしたら、ユズルさんには会いたくても会えない人がいるからかな?ユズルさんの個人的なことはタクミには話せない。 「サクも何かを隠してる。最近あちこち歩き回ってる。何を隠してるんだ?」  流石、タクミ。すぐにわかってしまった。 「ごめん。怪しいことはしてないけど、約束があって話せないんだ。夏休みが終わったら話してもいいか、約束した相手に相談してみる」 「なんで夏休み中は話せないんだ?約束した相手は誰だ?アサヒか?」 「夏休み中はどうしてもやりたいんだ。タクミが反対しても、やめない。だからタクミには話さない。 約束した人はタクミは会ったことない人だ。でも信頼できる人だよ」  タクミは難しい顔をしている。 「無理矢理にでも聞き出したいけど、サクは頑固だって分かってるから、今は引くことにする。俺が反対するって思うことをやってるんだな。 今の俺の立場ではサクを縛れないか…約束しろ。くれぐれも無茶はするな。困ったら、俺に相談しろ」  僕を縛る?タクミの立場?疑問はあるけど、とりあえずタクミにルチルさんとの約束を打ち明けることは保留できた。僕の命をかけてるなんて知ったら、絶対怒るだろう。でもタクミに秘密を打ち明けたら、誓約の通り石が僕の心臓を止めるかもしれない。  タクミは外面は優しいクマみたいだけど、中身は結構怖い。怖いけど、いつも僕を見捨てないでくれる。 「約束する。ありがとう。困ったら相談する。僕が隠しごとをしてるってよくわかったね」 「それは、サクを見てるから」  僕だって、毎日タクミを見てる。でもタクミが変わったことに気付けるかな?自信はない。  もちろん、この日のこともルチルさんに報告した。すぐにタクミに話してもいいって許可ももらった。タクミは神龍を好きではないし、僕が『神龍の導き』を探すことを反対するだろう。だから夏休み中は話さない。『導き』を探すことはタクミに反対されてもやるつもりだけど、今は口論にならなくてホッとしている。  それにしてもルチルさんは僕のことをすごく知りたがる。どうしてだろう?
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