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4. 火事の日
一体、火事の日には何が起こっていたのだろうか。次に書かれた事は、火事の日の午前一時半頃に起こった出来事である。
「おもちゃのチャチャチャチャ、おもちゃのチャチャチャ♪ チャチャチャおもちゃのチャチャチャ♪~ おもちゃは箱を飛び出してー♪」
ぬいぐるみたちも、毎晩この時間帯に、おもちゃ箱を飛び出して来て、踊り始める。いつも楽しく踊って、麻希たち人間が起きてくる頃には、箱へ帰り、おもちゃに戻る。
麻希の三匹のぬいぐるみたちは、動いている姿を決して人間に見られてはいけないと、聞いていた。そのため、とても用心深く、麻希たちが寝ている間に踊りや遊びを楽しんでいた。
ところがその日は、モンスターのぬいぐるみの角が、ドラゴンのぬいぐるみの目に当たってしまい、喧嘩になってしまったのだ。モンスターは、謝るどころか、「そんな所に顔があるからいけないんだ」と反論して、ドラゴンを本気で怒らせてしまった。そして、ドラゴンは怒りのあまり、口から火を吹いてしまったのだ。
火はおもちゃ箱に燃え移り、すぐ広がってしまった。ドラゴンや、他のぬいぐるみたちも、何とか火を消したいと思ったが、水道まで手が届かず、水をかけられない。そこで、ドラゴンは言った。
「麻希ちゃんたちを起こしてくる。みんなはおもちゃに戻って!」
ドラゴンは、寝室のドアに体当たりをして、何度も音を立てた。お父さんが出てくる瞬間に、素早く身を隠した。
麻希ちゃん家族が三人とも、外に避難出来たのを確認したとき、ドラゴンは、ここでぬいぐるみに戻って、家と一緒に焼けてしまおうかと思った。
しかし、自分が家を焼いてそのままでは、申し訳なさすぎる。何か、償いをしたい。そこで、自分もタイミングを見計らって外に出て、そこでおもちゃのぬいぐるみに戻った。
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