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ーー……とある休日の昼下がり。
「タケ、野球しようぜ!」
バットを持った中肉中背の男の子が俺に話しかけてくる。
「おうよ!」
意気揚々と俺はグローブを片手に返事する。
「なぁ、タケ」
広場に向かおうとした時、男の子が気まずそうに俺を呼んだ。
「何だよ」
改めて呼ばれ俺は何事かと思う。
「付いてきてるぜ」
男の子は、くいっと後ろに視線を移した。
「まゆみ!
いつの間に……」
男の子の視線を辿ると、眼鏡を掛けた小柄でぽっちゃりした女の子がいた。
「…………」
女の子は無言でこちらをジッと見ている。
「まゆみもやるか?」
一生懸命こちらを見ている女の子を俺は野球に誘った。
「……うん」
表情を変える事なく、女の子はコクリと頷いた。
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