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「よお、お手柄!」
私の飼い主兼上司が肩を叩いた。毎度毎度この男の労いのアタックは、痛すぎる。もはや打撃、悪意のない攻撃。犯罪者を連行に来ただけならさっさと帰ればいいのに。
「あんたが命じてるんでしょ。」
お金と生活に困っている哀れな女。私に与えられた役を全うすれば、面白いほど悪い人間が釣れる。そう言いだしたのはこいつ。実行するのは私。権力乱用。
「悪くない役だろ、大女優。」
「日給よこせ、パワハラ上司。」
悪態をつきつつも悪い気はしない。お金がない。女。二つの弱者要素が揃うだけで驚くほど、邪な心の人間はすり寄ってくる。それだけ持たざる者の骨をしゃぶろうとする人間が多いという事実。世知辛い。難儀な世の中。弱者は泣き寝入り。
私は胸に宿る熱い思いを感じながら、一円玉を握りしめた。
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