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「おやおや捨ててしまうのですか?」
突然背後から降ってきた言葉に驚く。振り返ると目と鼻の先に仕立ての良いスーツの紳士が立っていた。チャップリンみたいな帽子を被ってなんだこいつは。
「何ですあなた?私の心の臓を潰すおつもりですか?」
私はわざとらしく胸を押さえる。『心に大変なショックを与えられました。』これで損害賠償とか請求できないだろうか。
「いいえ、滅相もございません。私はただの怪しさ満点のチャップリンモドキ。もといそちらのメールの送り主でございます。」
自覚あったのか。そんなことより私は件のメールの送り主だという事実に驚いた。これは迷惑料をもらえるのでは。
と思うと、男はうやうやしく頭を下げ、名刺を一枚差し出した。
「私、生活安全保障課のマネリンと申します。」
私は名刺を見て感心した。どうやら男は国の機関。賠償請求しないでよかった。恐喝寸前。間一髪。
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