冬の再会

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冬の再会

年末年始の長期休暇、実家に帰るつもりはなかったが同窓会の誘いを断りきれなくて帰省することにした。 憂鬱な気分のまま会場のレストランに向かう。 高校3年のひとクラスだけなので会場はそんなに大規模な広さではない。 9年ぶりに会うと随分変わった人間もいて忘れてしまったやつもいる。愛想笑いで話をつなげながら記憶の底を漁るが思い出せない。 すぐ帰るつもりだったので実家に荷物を置いて、黒いコートに長めの白いセーターで会場に行ったが暖房が効きすぎで暑い。 仕事柄煙草は厳禁だが1人になるためのアイテムとしてたまに使う。 喫煙コーナーに行くと先客がいた。 例によって思い出せない。 向こうも思い出そうとしてか、じっと俺の顔を見ていた。 「となり、いい?」 「‥どうぞ」 灰皿をはさんで並ぶ。安物のライターで火をつけて肺まで吸い込みながら誰だったか思い出そうとするが、酒の酔いと暑さにのぼせて頭がぼんやりしていた。 こんな奴いたっけ? 少し長めで傷んだブラウンの髪。体のラインがわかる細いスーツに、左の薬指に蛇が巻き付くような指輪。 「サエキ君でしょ?」 「え?」 俺の事を覚えていたのだろうか。彼はふわりと笑った。
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