序章

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序章

“学校裏で集合ね!” 花音からのメールだった。 もう5月なんだなぁ。 「お母さん、そろそろ行ってくるね」 そう言って重い荷物を抱えながら約束していた場所へ向かう。 学校裏に着くと花音と燐が待っていた。 「千花! すごい重そうだね……」 花音は苦笑いしながらそう言った。 花音こそキャリーケースを持ってきて旅行みたいなのに。 その一方、燐は軽そうだった。 「まぁ、必要最低限のものだけ持ってきました」 私の必要最低限と全然違う。リュック一つなのにも関わらず軽そうだ。 「じゃぁそろそろ行こっか! 私達を匿ってくれる友達のところにはもうすぐ行くって伝えてあるし」 そうだね、と花音に着いていく。 4月。花音と放課後の教室で話していた。 死のうかなぁ、なんてふと思って。 花音は私を理解してくれる友達で、よく辛いことがあったときに話したりしていた。 だからこの時もいつになったら死ねるんだろうねって言ったり もう死んじゃおっかなんて言ったりして。 冗談まじりな部分はあったけれど、少し本気にしていることを察したのか、 “それなら一緒に家出して遊ぼうよ、遊び疲れたら死のうよ” って花音が言い出して。 冗談からいつのまにか本当のことになってきて。 “じゃあ5月ね” って決まって、その日を楽しみに生きてきた。 そのあとメールで “1年の燐ちゃんも一緒でもいい?” って聞かれたときはびっくりしたな。 花音が燐ちゃんに言ったのかと思ったら燐ちゃんが話を聞いてたっていうから。 でも、人数増えたら楽しいかもなぁ、と “是非燐ちゃんも” って返事した。 5月1日。 私達の逃避行が始まる__
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