1人が本棚に入れています
本棚に追加
「まずは明日。外に出るのも危険だし、とりあえずは家にこもっていたほうがいいかもね。それに髪型とか服とかも変えられるなら変えたいな」
「私は髪が長いので切ってもいいかなって思います。花音先輩や千花先輩は髪がもともと短いのでなかなか髪型変更は難しいと思いますが」
「私と花音は前髪あげたり服や雰囲気勝負ってところがあると思うな」
まだ家出をしたということに現実感を感じられないからか、不思議と話が弾む。
どうしようかな、これもいいな、なんて話していたら、とても早く時間が進んでいるような気がした。
「花音! ご飯置いてくから私は仕事行ってくるね! あとは任せたよー」
2階から階段で降りる音と共に玲那さんの声が聞こえる。
時計を見ると5時半を過ぎていた。
もうこんな時間だったのかぁ。
玄関を見ると服を着替えて大人な雰囲気が一層増した玲那さんが靴を履いているところだった。
「いってらっしゃい!」
花音がそう言ってすぐ、ご飯の支度を始めた。
花音は学校でも当番じゃないのによく当番の人の手伝いをいていた気がする。
このままだと花音がご飯支度を全てこなしてしまいそうだったから、私も燐も支度を手伝う。
まだあってから少ししか経っていない人の家で、
家族もいなくて、
友達と食べる夕食はなんだかわくわくする。
夕食は玲那さんが買ってきてくれたお弁当だった。
よくある幕の内弁当のようなもの。
「さぁ食べよっか」
「「「いただきます」」」
まるで少人数の教室で給食を食べているかのように、手を合わせていただきますを言って食べ始める。
友達と食べるお弁当はおいしい。
会話も弾むし、気楽でいられる。
小学校の時の宿泊研修や修学旅行の時の楽しさを思い出して話す。
大変なことも多かったけれど、友達と過ごして楽しかったなぁ。
そういえば、燐の笑っているところはまだ見ていない。
これだけ会話が弾んでいても燐が本気で笑っているようには思えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!