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カジ坊が出て行った後、言われた通りに鍵を閉めてシャワーを浴びる。大好きな人が部屋にいてくれるだけで、早く出なくちゃと自然と急いでしまうけど。少しお掃除もしなくては・・・。
狭いユニットバスから出ると、部屋には人の気配。ずっとひとりで生活してきたこの部屋に誰かがいるなんて。彼氏を部屋に招待する初めての経験が最後に出来た。なんか新鮮。
「いただいてる。」
「ありったけどうぞ。」
ベッド手前にあるソファーに座って、缶ビールを飲みながらノートパソコンを操作していたカジ坊がパソコンを閉じて立ち上がる。さっき、パソコンを持って来たんだね。やっぱり仕事が残ってたのかな。
「仕事、大丈夫?」
「問題ない。重要なものは終わらせてあるからな。」
さすがっす。カジ坊くらいになると、後から後から仕事が湧いて出てくるんだろうか。そんな感じする。デキちゃう人には仕事が集まるもの。なんだか気の毒だ。
「タオル、これ使って。着替えはないんだけど・・。」
「持ってきた。」
黒いエルメスのトランクケースから着替えを出している。エルメスが好きなのかな。
「いつも持ち歩いてるの?」
「備えあれば憂いなし。シャワー借りる。」
「うん。何でも好きに使ってね。」
バスルームに向かうカジ坊を見送って、さぁどうしようか。泊って行けとは言ったもののベッドはシングルベッド。当たり前だけど一人用。はっきり言って狭い。二人で寝られるのかな、これ。重さとか大丈夫なのか・・・。
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