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カジ坊の周りに大親分さんと会長と副社長。落ち着いた雰囲気で静かにお酒を汲み合っている。会話は聞こえない。というか、ほぼほぼ会話してない様子。温かい空気が漂っている。そんな感じ。
一方、私の前には専務と部長が座っていた。というより、専務に絡まれてる私を部長が庇ってくれていた図。そこへ
「おい、ほら、どけどけ。酌終わったヤツは戻れよ。そこ除け!」
お腹の大きい丸子社長が、専務と部長を蹴り転がして、私の目の前に胡坐をかいた。
「痛いよ丸子~」
「姐さん、お腹。安静に(笑)」
大人しく自分の席に戻っていく専務と部長を若干唖然としながら見届けた後、笑顔の丸子社長と目が合った。見つめられてた?と思った瞬間、ガシっと両手を掴まれる。
「恵ちゃんを幸せにしてくれて、本当に、本当に、ほんっとおおおおおに、ありがとうございます!!」
震える手で、ギュッときつく握られて。ブンブンと上下に揺さぶられ。満円の笑みで。だけど涙ぐみながら。本当に嬉しそうに。カジ坊の幸せを心底願ってる。ほんっとおおおおに大切に思ってるって伝わってくる。
「幸せにしてもらえているのは私の方です。ありがとうございます。」
私まで嬉しくなって。なんだかもらい泣き。
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