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『ん波の~、谷、間に、命の~花んがぁ~』
宴会に付きものカラオケ大会が始まった。
『ふたつぅ~ん並んで~咲いぃてぃいるぅ~』
ステージで気持ち良さそうに歌っている大親分さんの『兄弟船』を聴きながら、お膳のお料理をいただく。それでも、
「この度はおめでとうございます。」
と、『むさっ苦しい男の人達』に引切りなしにお酌され、手渡される名刺の数がどんどん増えると同時に、酔い加減の方も確実に上がってく。キリがないので乾杯をしたら一口ずつ飲むことにした。本当に有難いんだけど、身が持たない。だって日本酒なんだもの(笑)
『型はぁ~古いがぁ~シケにはぁ~ん強いっ』
「あまり無理しなくて飲まなくてもいいからな。」
隣でカジ坊が心配してくれてるけど
『俺と兄貴のぉヨ~~~ォ』
こういう時って、お酒が強くて良かったなって思うよ。
「大丈夫。今日はシコタマ飲みまっす!」
お酌をされて、飲めませんとか言いたくない。
『夢の~揺り~篭ぉさ~~~↑↑↑』
「ぶほっ」
「ハハ!!」
大親分さん!!そこ下がるんじゃないですか?下がりますよね??そうくるとは本気で予想外。日本酒、吹き出しそうになっちゃったよ。
「悪い。濡れてないか?」
カジ坊も、悪いって言いつつ笑ってる。知ってたんだ。意地が悪い。
「大丈夫。驚いた(笑)」
「毎回だ。なぜかブレなく確実に疑問形。」
「言い方(笑)」
『いつもぉ~張り合う~恋ぃ~ぃ敵ぃ~』
一通り、お酌タイムも落ち着いたのか、役職の皆さんもバラけて好き勝手飲んでいるみたい。こうしてカジ坊と二人で談笑できる時間も嬉しい。きっと気を遣ってくれているんだと思う。
「やっと落ち着いたみたいだな」
そう声がしたと思ったら、目の前にドサッと腰を下ろした人物。気怠そうな子犬顔の人。
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