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「雅、お巡りの誠。」
子犬顔の誠さんに名刺を渡される。
「初めまして・・?本城 雅です。」
『ん楽なぁ~暮らしが~させぇ~たくぅてぇ~』
【警視庁組織犯罪対策部暴力団対策課長 警視視正 荒瀬 誠(アラセ マコト)】・・って。警視正って確か、ものすごく偉い人なんじゃ・・
「薄々勘づいてる様子だが、初めましてではなく二度ほど髪を切ってもらったことがある。」
「道理で会ったことがあると思いました!その節はありがとうございました。」
って、東京からわざわざ山梨に髪を切りに?
「お前を探し出してくれたのはこの誠。」
「こんな偉い人が!?」
『ん熱いぃ~この血はぁよぉ~~~~』
「遼二の頼み事は嫌々だが、コイツの頼み事は嫌じゃない。」
「随分世話になった。」
「水臭ぇーぞ。良かったな。」
荒瀬さんが私とカジ坊のお猪口にお酌をしてくれた。三人でお猪口を当てて飲み交わした際、不機嫌そうな子犬顔だったのに穏やかな表情でカジ坊に微笑んでる。カジ坊も然り。初対面の私でさえ、二人が信頼し合ってる関係性が見て取れた。
『オヤジ譲~りだぁぜ~~↑↑↑↑』
「フハ!」
大親分さん、ほんとになぜソコ上がっちゃうの。耳について仕方ない(笑)
「んじゃ、俺は署に戻ることにする。」
「あぁ。わざわざ悪かったな。」
「またな、二人共。」
「ありがとうございます。」
スマートに立ち上がり、宴会場を後にしようとする荒瀬さんの後を、
「おい、マコト!帰んのか?」
丸子社長が追い掛けて行く。
「お前、彼女いるんだって?さっき忍が口を滑らせやがったぞ!」
「うるせー。どーでもいいだろ。腹の子に触る。大人しくしてろよ。」
「大丈夫なのか?お前の鬼畜具合バレてねーか?」
「んなことで動じるような女じゃねーよ。余計なお世話だ。」
「まぢか!なんかかっこいいな。紹介しろよ!」
「機会あったらな。」
「おい、逃げんなよ!」
「俺は忙しいんだよ!!」
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