ケロ子、30歳課長

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まだこのフロアには朝倉さんと二人きり。こういった注意ごとは極力、他の人には聞かせないのが私のやり方。皆の前で言われるのは、あまり気分の良いことではないと思うから。 けれど、それがまた甘えに繋がってしまう可能性があるのも承知している。二度三度同じ事を言っても伝わらない場合は、皆の前で知らしめるのも必要。でなければ皆が緩む、そして歪みが生じてしまう。締めるところはキッチリ締めなければ、組織自体が機能しなくなる。 幸い、朝倉さんは一度伝えたことはやろうと頑張ってくれる。頑張ることで褒められるのは学生まで。社会人は、あくまでも結果が全て。キツイよね、これかなり。 すぐでなくてもいいんだよ。やってくれようとしてくれる姿勢が嬉しい。有難い、むしろ感謝だ。職人あがりの私の考えは間違ってるのかな、よくわからん。 すかさずコーヒーを淹れてもらえる程には、嫌われてはいないのだろうと撫で下ろす。嫌われていなければいいな。やりづらくなる。
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