第1章 誕生

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ムムムムム......まぶしいな? ここはどこだ? なんだかずっと暗いとこに居たから目が慣れんぞ...... 「おっ、王妃様、生まれました! たっ、珠のような『男の子』です!」 「おう......『男の子』か! ソニア、でかしたぞ! よくぞ産んでくれた。我が『ゴーレム国の跡取り』を!」 『男の子』?  『ゴーレム国の跡取り』?  どっちが俺の正しい名前なんだ? ちゃんと決めてから呼んで欲しいもんだ。ただでさえ赤子の脳細胞は単純なんだから。ムムムムム...... 「今、ムムムムム......って言ったぞ。普通最初は、オギャー! じゃ無いのか?」 「きっとあなたに似て気難しい性格なのよ。別にいいじゃない。『ゴーレム国王』シーザーの跡取りなんだから、普通じゃ務まらないわよ」 なんだ?...... このソニアとシーザーって人は、俺に『オギャー!』と言って欲しかったのか? なるほど......ならばリクエストにお応えして、 「ウギャーッ!!!」 小さな肺をいっぱいに膨らませ、一気に波動砲を発射してみた。 すると...... 「ウワァー?!」 「ヒエーッ?!」 おお......跳び跳ねて喜んでるぞ。いい事をすると気持ちがいいもんだ。どうやら俺は、将来『ゴーレム国』の国王になるらしい。ならば、これからいい事をいっぱいするとしよう。 おっと......目が開かなくなって来たぞ。目の前が暗くなって来た。ムムムムム...... そして、スヤスヤ...... 「あらおチビちゃん、もう寝ちゃたみたいね。そうそう......名前はどうしようかしら? 将来国王になるんだから、立派な名前を付けてあげないといけないわ」 「そうだのう? 『ラッシャー』なんてのはどうだ? プロレスラーみたいで、なかなか強そうじゃないか?!」 「あなた、この子の顔をよく見て。まるで女の子みたい。可愛い顔してるわ。きっと将来イケメンになるわよ。そうね......アダム。そう、アダムにしましょう! 決まり!」 「1カ月寝ずに考えたんだけどな......まぁ、ソニアがそう言うんだったらそうしよう。よしっ、今日からこの子は『アダム』だ。 おいアダム! 将来この国の立派な国王になってくれよ。それにしても......こいつ本当に男なのか? 0才にして既に女性ホルモンびしばしに感じるんだけどな......」 「アダムが女の子なら、これは何なのよ」 「別に毛布めくる必要無いって。下半身が風邪引くだろ」 「あら......あなたに似たのかしら? 結構大き......いいえ、な、何でも無いです」 「なんだかのう......アダムの見てたらウズウズして来たじゃないか。どうだソニア......寝室に戻るか?」 「あのね、あたしは今さっき子供を産んだばかりなの! 今日はもう疲れた......先に寝るわよ」 「そっ、そうか......」 と言う訳で...... 今日から俺はこの『ゴーレム国』でソニアとシーザーに、愛情いっぱい育てられる事となった。 これから、武芸を学び、学問を学び、帝王学を学び、やがては国王になる。そんな開けた未来が待ち受けていた。 筈だったのだが...... 生まれて来たばかりの今宵、なんと! 俺の運命が180度変わってしまう大事件が巻き起こってしまう。 それは、俺はもとより、皆が寝静まった深夜の出来事だった...... ガサ、ガサ...... ガサ、ガサ、ガサ...... ん? 何の音だ? どうやら、俺はそんな怪しき物音に、突然目を覚ましたらしい。 おい、勘弁してくれよ...... まだ生まれたばかりなんだから、1日最低16時間は寝なきゃダメなんだぞ! 誰だか知らんけど、全く迷惑な話だ...... おっと、誰かが部屋に入って来たみたいだ。 「フッ、フッ、フッ......」 なんだこいつは? 見た目からすると、ソニアの分類だな。(多分『女』の事を言っている)シーザーの身体はやたらとゴツかったからな。(こっちは男の事を言っている) ムムムムム......俺の身体を持ち上げたぞ! 一体何する気だ? そっ、そうだ......俺は誰に対してでも、いい事をするって心に決めたんだ。よし、ならばまずは挨拶! きっとソニア達みたいに飛び上がって喜ぶぞ。それでは僭越ながら、挨拶しましょう! せ~の~...... 「フギャー!!!」 すると、 「やっばーい!!!」 やっぱ飛び上がってくれた! ナイスリアクションだ。 でもさ、喜びすぎて俺を落とさないでくれよ。まだ生まれ立てなんだから......まぁでも思った通りの反応だ。やっぱいい事すると、気持ちがいいな。よしよし...... タッ、タッ、タッ......  タッ、タッ、タッ...... おっと、外から足音が! 俺の『挨拶』に気付いて、誰かやって来るんだな。賑やかなのは大歓迎。 いっぱい来~い! どんどん来~い!
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