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ムムムムム......まぶしいな? ここはどこだ? なんだかずっと暗いとこに居たから目が慣れんぞ......
「おっ、王妃様、生まれました! たっ、珠のような『男の子』です!」
「おう......『男の子』か! ソニア、でかしたぞ! よくぞ産んでくれた。我が『ゴーレム国の跡取り』を!」
『男の子』?
『ゴーレム国の跡取り』?
どっちが俺の正しい名前なんだ? ちゃんと決めてから呼んで欲しいもんだ。ただでさえ赤子の脳細胞は単純なんだから。ムムムムム......
「今、ムムムムム......って言ったぞ。普通最初は、オギャー! じゃ無いのか?」
「きっとあなたに似て気難しい性格なのよ。別にいいじゃない。『ゴーレム国王』シーザーの跡取りなんだから、普通じゃ務まらないわよ」
なんだ?......
このソニアとシーザーって人は、俺に『オギャー!』と言って欲しかったのか?
なるほど......ならばリクエストにお応えして、
「ウギャーッ!!!」
小さな肺をいっぱいに膨らませ、一気に波動砲を発射してみた。
すると......
「ウワァー?!」
「ヒエーッ?!」
おお......跳び跳ねて喜んでるぞ。いい事をすると気持ちがいいもんだ。どうやら俺は、将来『ゴーレム国』の国王になるらしい。ならば、これからいい事をいっぱいするとしよう。
おっと......目が開かなくなって来たぞ。目の前が暗くなって来た。ムムムムム......
そして、スヤスヤ......
「あらおチビちゃん、もう寝ちゃたみたいね。そうそう......名前はどうしようかしら? 将来国王になるんだから、立派な名前を付けてあげないといけないわ」
「そうだのう? 『ラッシャー』なんてのはどうだ? プロレスラーみたいで、なかなか強そうじゃないか?!」
「あなた、この子の顔をよく見て。まるで女の子みたい。可愛い顔してるわ。きっと将来イケメンになるわよ。そうね......アダム。そう、アダムにしましょう! 決まり!」
「1カ月寝ずに考えたんだけどな......まぁ、ソニアがそう言うんだったらそうしよう。よしっ、今日からこの子は『アダム』だ。
おいアダム! 将来この国の立派な国王になってくれよ。それにしても......こいつ本当に男なのか? 0才にして既に女性ホルモンびしばしに感じるんだけどな......」
「アダムが女の子なら、これは何なのよ」
「別に毛布めくる必要無いって。下半身が風邪引くだろ」
「あら......あなたに似たのかしら? 結構大き......いいえ、な、何でも無いです」
「なんだかのう......アダムの見てたらウズウズして来たじゃないか。どうだソニア......寝室に戻るか?」
「あのね、あたしは今さっき子供を産んだばかりなの! 今日はもう疲れた......先に寝るわよ」
「そっ、そうか......」
と言う訳で......
今日から俺はこの『ゴーレム国』でソニアとシーザーに、愛情いっぱい育てられる事となった。
これから、武芸を学び、学問を学び、帝王学を学び、やがては国王になる。そんな開けた未来が待ち受けていた。
筈だったのだが......
生まれて来たばかりの今宵、なんと! 俺の運命が180度変わってしまう大事件が巻き起こってしまう。
それは、俺はもとより、皆が寝静まった深夜の出来事だった......
ガサ、ガサ......
ガサ、ガサ、ガサ......
ん? 何の音だ?
どうやら、俺はそんな怪しき物音に、突然目を覚ましたらしい。
おい、勘弁してくれよ......
まだ生まれたばかりなんだから、1日最低16時間は寝なきゃダメなんだぞ! 誰だか知らんけど、全く迷惑な話だ......
おっと、誰かが部屋に入って来たみたいだ。
「フッ、フッ、フッ......」
なんだこいつは? 見た目からすると、ソニアの分類だな。(多分『女』の事を言っている)シーザーの身体はやたらとゴツかったからな。(こっちは男の事を言っている)
ムムムムム......俺の身体を持ち上げたぞ! 一体何する気だ? そっ、そうだ......俺は誰に対してでも、いい事をするって心に決めたんだ。よし、ならばまずは挨拶! きっとソニア達みたいに飛び上がって喜ぶぞ。それでは僭越ながら、挨拶しましょう! せ~の~......
「フギャー!!!」
すると、
「やっばーい!!!」
やっぱ飛び上がってくれた! ナイスリアクションだ。
でもさ、喜びすぎて俺を落とさないでくれよ。まだ生まれ立てなんだから......まぁでも思った通りの反応だ。やっぱいい事すると、気持ちがいいな。よしよし......
タッ、タッ、タッ......
タッ、タッ、タッ......
おっと、外から足音が! 俺の『挨拶』に気付いて、誰かやって来るんだな。賑やかなのは大歓迎。
いっぱい来~い! どんどん来~い!
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