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『すみません、私にも写真を見せてくれませんか?』
結城と敬子の前にタクシー会社の制服を着た男が声を掛けてきた。
『タクシー仲間の奴が写真の派手な格好の女性の事で聞き込みしてる二人が居るって聞きまして。もしかしたら私がその派手な格好をしてる女性を乗せた可能性があるので。』
結城はベンチから立ち上がり鞄から、小松田が派手な格好をしてななつ星に乗車している写真を取り出してタクシー会社の制服を着た男に渡し
『4月15日に別府駅から乗せた可能性があるんですね。』
写真を手渡されたタクシー会社の制服を着た男はその写真を見て
『この女性、当日私が乗せたかもしれません。格好が派手だったので覚えてます。』
結城は鞄からシャープペンと手帳を取り出して
『この女性はどちらに行かれたんですか?』
タクシー会社の制服を着た男は
『確か行き先を由布院と言われて由布院に向かいました。途中でお土産屋に寄ってほしいとの事でお土産屋に寄ってから由布院のホテルに向かいました。』
結城はメモをしながら
『何か変わった事はありませんでしたか?』
タクシー会社の制服を着た男は
『途中、スマホでどこかに電話してましたね。』
結城は
『内容は覚えてますか?』
タクシー会社の制服を着た男は
『今、由布院に向かってる。後はどうするの?わかった。それじゃ、後は宜しくね。ぐらいしか覚えてません。』
結城は会釈して
『ありがとうございます。また何かあれば教えて下さい。』
タクシー会社の制服を着た男は会釈し、タクシー乗り場に止めてある自分のタクシーに乗り込んだ。
結城は缶コーヒーを飲み干し
『それじゃ行こうか。』
ベンチに座ってる敬子は
『行くってどこに?』
結城は
『お土産屋さんに行って話しを聞いてみようか。』
………………
土産屋に行く途中の車内。
助手席に座ってる敬子は
『何を調べに行くの?』
運転中の結城は
『何を買ったのか、もしそのお土産を送ってくならどこに送ったのかさ。』
敬子は
『そこまで調べる事あるの?』
結城は
『相手のアリバイを崩さなきゃいけないから、せっかく大分県の別府まで来たんだ。どんな小さな事でも調べないと。』
敬子は結城の言葉に笑ってしまい、結城は敬子が笑った事に
『俺、そんなにおかしな事言ったかい?』
敬子は笑いながら
『笑ってごめんね。純君って一つの事に集中すると猪になるのって、ずっと変わらないな~って思ってさ。』
結城は自分で自分に指を差し
『俺って猪なの?』
敬子は過去を思い出し
『だって、こんな私の為にいつも一生懸命だったじゃん。』
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