アリバイ崩し

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結城はあの頃を思い出しながら 『あの頃は真田敬子って女性に引かれてく自分が居たんだ。笑顔が似合う可愛い女性に引かれたんだ。それから周りが見えなくなったもんな。』 敬子は窓の外を眺めながら 『私の為にあそこまで一生懸命だったのは後にも先にも純君だけだったし。』 結城は正面を見て車を運転しながら 『俺は敬子と言う女性を知った時から、敬子に対してだけは猪になっちゃうかもしれないな。』 敬子は照れ笑いの表情で結城を見て 『物好きなんだから。でも私の為にありがとう………』 結城は敬子の言葉ににっこり笑って運転を続けた。 ……………… お土産屋 結城と敬子は車から降りた。結城は周りを見渡し 『結構大きなお土産屋だな。』 敬子も結城同様に周りを見て 『本当、観光客が多いね。』 結城は伸びをしながら 『んんん〜………さて、中に入って聞き込みに行こうかな。敬子はお土産でも選んでて構わないよ。』 敬子はにっこり笑って 『私も一緒に行く。お土産はその後でもいいじゃん。』 結城と敬子は土産屋の店舗に入り近くに居た店員に事情を話すと、店長らきし女が結城の前に来て会釈して 『私、ここの店の店長の佐伯です。何か聞きたい事があるとか………』 結城は鞄から鴨川警察署捜査一課若手教育係の腕章を腕に巻いて 『突然の訪問すみません、実は確認したい事がありまして。少しお時間よろしいでしょうか。』 土産屋店長の佐伯は 『はい、大丈夫ですよ。』 結城は鞄から派手な格好の小松田の写真を見せて 『この方なんですが、4月15日にここに立ち寄ってないでしょうか?』 店長の佐伯は結城から写真を借りて 『えぇ、私も従業員もこの方を見てますよ。派手な格好だったから覚えてます。』 結城は鞄から手帳とシャープペンを出して笑って 『この女性は何を買ったかまでは知らないですよね〜………』 佐伯は結城を見て 『私が対応したので覚えてますよ。地酒とおつまみを購入しました。その後、宅急便で送ってほしいとの事だったのでうちから送りました。』 結城は佐伯の言葉をシャープペンで手帳にメモをしながら 『どこに送ったかはわかりますか?』 佐伯は従業員専用部屋の入口の扉を見ながら 『送り主と送る相手の住所と名前を書いたあの紙はまだ残ってるはず。うちはトラブった時の為に一ヶ月だけ保管してまして。ちょっとお待ち下さい………』 佐伯は奥の従業員専用と書かれた扉を開けて奥へと入って行った。 敬子はにっこり笑って結城に 『覚えててくれてよかったね。って、純君どうした?難しい顔してるけど………?』 結城は難しい表情で手帳を閉じて 『何だか腑に落ちねぇんだよな。』 敬子は結城の言葉に 『ん?腑に落ちない?』
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