ななつ星での写真

3/7
前へ
/232ページ
次へ
居酒屋大将 結城は目を綴じ難しい表情をしながらカウンターの一番端の席に座り、目の前には日本酒とおでんと ななつ星の中で撮影された派手な格好の小松田の写真が置いてあった。 まだこの写真が鉄壁のアリバイを証明してる………今のままじゃ確実に捕まえる事が出来ない。 『どうした?凄く疲れてるよ。今日は飲んだら寝ようよ。』 敬子が自分が飲んでるサワーを持って結城の隣の席に座った。 結城は日本酒を一気に飲み干し溜め息を吐き 『この鉄壁のアリバイの写真がある限り眠れないよ。日本酒おかわり。』 敬子は結城の目の前に置いてある写真を手に取り 『この写真が一番のネックだよね〜。』 佳奈枝は敬子の横に座り、敬子が持っている写真を見て 『私にも見せてよ。ん?あれ?………って、この写真を見た感想を言ってもいい?』 敬子は佳奈枝に写真を手渡し 『感想?うん、言ってみて。』 佳奈枝は敬子から写真を受け取ったあと写真ジッと見て 『何かさ違和感を感じるんだけど気のせいかな?』 敬子の後ろに来た小百合は一緒に写真を見ながら 『違和感?私には感じないな〜。気のせいじゃないの〜。』 佳奈枝は写真をテーブルに置きもう一度写真を見ながら 『やっぱり気のせいなのかな〜………』 結城に日本酒を運んで来た美和子も写真を見て 『私も違和感は感じないな。もしかしてこの車両はななつ星じゃないとか?』 敬子はテーブルに置かれた写真を見ながら 『確かにななつ星の車両だよ。車掌さんも彼女を確認してるし。』 美和子は敬子の横でテーブルに置かれた写真を見ながら 『それじゃ二重撮影でもないんだね。』 結城は日本酒を飲み 『この写真はその車掌に撮影を頼んで撮ってもらった写真なんだよ。』 美和子は結城を見て 『確かに鉄壁のアリバイなんだね。』 野間口が厨房から出てきて 『そうだそうだ、結城と敬子さんに伝える事があったんだ。』 結城は日本酒を飲み 『ついに居酒屋大将を、まるやまの横に建てて勝負する決意をしたか。』 野間口は笑って 『何馬鹿な事言ってるんだ。逆立ちしたってあの店には勝てないって。違うよ、北山さんが昨日病院で目を覚ましたんだ。』 結城は笑顔になり喜びの表情で 『そっか、目を覚ましたならよかった。もちろん目隠しをされてたし犯人は見てないんだろ?』 野間口は結城の言葉に頷き 『そうなんだよ。目隠しをされてたから犯人は見てないそうだ。』 敬子は野間口を見て 『退院はいつぐらいになりそうなの?』 野間口は 『それなんだけど、退院はもう少し時間がかるそうでね。』 敬子はサワーを飲みながら結城に 『明日は何をやるの?』 結城は写真を見ながら 『アリバイ崩しだよな。後は大門に調べてもらってる結果と、稼頭央君にもある事を頼んでるんだけど、その結果も待つ。』 敬子は結城を心配し 『今日は早く寝ようよ。寝て疲れを取ってまた捜査をしようよ。』 結城は敬子の表情を見て 『わかった、今日はもう部屋に行って寝ようか。』 野間口は 『今日は早く寝て明日からまた頑張ればいいんだよ。』 結城はおでんを食べ日本酒を飲み干した後に立ち上がり 『それじゃ先に寝る。』 結城はそう言って部屋に行った。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

747人が本棚に入れています
本棚に追加