真相

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結城は鞄からまた何かを取り出して葉月と睦月が座ってる正面のテーブルに置いた。 葉月は結城がテーブルに置いた物を見ると 『ハサミ………?なんですかこの家政用ハサミは?』 結城は自分でテーブルに置いたハサミを手に取り 『そう、家政用のハサミです。ですが、ただのハサミではありません。実はこれは左利き用のハサミでして。右利きの人に対しては使い辛いんです。』 うつむきながら顔を真っ青にしていた睦月は体が震え出し、それを見た葉月は慌てて睦月に 『む、睦月………?ど、どうしたの?』 結城はまた不適な笑いが出て 『睦月さんはおわかりになったみたいですね。葉月さんはまだおわかりではないのですか?』 葉月は結城に声を荒げて 『ゆ、結城さん、意味がまったくわからないんですけど………ちゃんとわかる様に説明してくれませんかッッッ?』 顔が真っ青でうつむき、体が震えてる睦月は小さな声で 『お、お姉ちゃん、もう無理だよ………』 葉月は睦月に 『ど、どう言う事なの?』 結城は葉月に 『このハサミは睦月さんの自宅を家宅捜査した時に発見したハサミで左利き用のハサミなんです。もしかしてと思い大分県でお世話になった刑事に頼んでホテルのフロントで防犯カメラを確認して頂いたら、睦月さんがフロントでサインをした姿が映像に残ってまして それを見て左利きとわかりました。』 葉月は結城の言葉に驚き表情が真っ青になり、結城は話しを続け 『その証拠を間近で見たかったので最初に紙に自分の名前を書いてもらったんです。そしたら案の定葉月さんは右手で名前を書き、睦月さんは左手で名前を書いていたのを私は確認しました。これは筆跡鑑定ではなかったんです。』 葉月と睦月は顔が真っ青のままうつむいていた。 結城は葉月と睦月の前に立ち 『これだけ証拠が揃ったら黙秘しても無駄ですよ。もう一連の事、お話しして頂けないでしょうか?』 驚きの表情でうつむいている葉月は睦月に 『睦月、ごめんね………私のせいでこをな事になってしまってごめんね………』 同じく驚きの表情でうつむいている睦月は 『お姉ちゃん、私の方こそごめんね………私はお姉ちゃんが大好きだからいいの………』 葉月は立ち上がり真剣な表情で 『結城さん、お願いを聞いて頂けないでしょうか………?』 結城は葉月の言葉に 『お願い………ですか?』 葉月は結城の目を見て 『はい、私達を城山公園にある館山城に連れて行ってくれませんか………?そこでお話しをします。』 睦月も立ち上がり結城に頭を下げて 『結城さん、お願いします。お姉ちゃんのお願いを聞いてくれないでしょうか………?』 結城は葉月と睦月の言葉に 『館山城ですか………』
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