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銃声が鳴り止んだ瞬間、結城はその光景に驚きを隠せなかった。
秋吉が自分に向けていた猟銃が秋吉の真後ろに落ちていたからだ………
結城は何がなんだかわからず
『な、何があったんだ………?』
『ふぅ〜、危ない危ない、間一髪セーフ。』
植松が拳銃を握りしめて言うと、結城は植松を見ながら信じられない表情で
『って………う、植松が撃ったの………?』
植松は笑って
『はい、うちが撃ったんやで。って、結城はん、信じられない顔してはりますな〜。』
結城はまだ驚きを隠せず
『だ、だってこの距離で一発で決めた事に驚いてる………ま、まぐれ?』
植松は拳銃を鞄に仕舞い笑って結城に
『嫌やな〜。これでもうち射撃でオリンピック候補に選ばれた事があるんやで。まさかそれがここで生けるとは思わんかったわ〜。』
結城は植松の意外な腕に
『植松、ナイスッッッ!!』
秋吉は結城と植松の会話を聞きその場に座り込み涙を流して泣いていた。
大門は植松の側に来て
『植松、良くやった………と褒めたいが、まだ終わってないぞ。秋吉にワッパ掛けろ。最後までやれ。』
植松は大門の言葉に
『うちがワッパ掛けて良いんですか?』
大門はにっこり笑って
『秋吉の人生を植松が助けたんだから、植松が最後までやるのが筋ってもんだ。』
植松は大門に敬礼し
『了解ですッッッ!!』
植松は秋吉の側に行き鞄から手錠を取り出して
『秋吉修二、銃刀法の現行犯、五条才蔵とマネージャーの石松に対しての殺人の疑い、北村誘拐監禁強盗の疑い、結城純一郎を車で殺害しようとした疑い、時限爆弾の件でも警察でお話しを聞かせて頂きます。』
植松は秋吉の手首に手錠を掛けた。
その時、館山城の前の広場に館山警察署捜査一課警部補の藤堂が捜査一課の刑事数人を連れてやって来た。
植松は秋吉を館山警察署捜査一課の刑事に引き渡すと、館山警察署の刑事数人は秋吉を連れて行った。
藤堂は結城達の前に来て
『遅れて済みません。』
結城は溜め息を吐き館山城の前の広場からの風景を見て
『やっと終わったな………』
大門は葉月と睦月を連れて
『先輩、お疲れ様でした。二人を連れて行きますね。藤堂、秋吉の事頼むな。』
葉月と睦月は結城に会釈し大門と植松は駐車場に向かった。
藤堂は結城に
『今、鑑識からの結果が出て、葉月のクルーザーからルミノール反応でごく少量ですが血液反応が出ました。その血液型を調べたら五条才蔵の血液型と一致しました。』
結城は藤堂の話しに
『やっぱり証拠が出たか。後は大門達と藤堂達に任せるよ。』
藤堂は笑顔で
『もちろんお任せ下さい。』
結城は藤堂に申し訳無さそうに
『実はさ………大門達、車乗って行っちゃったから館山駅まで乗っけてってよ。』
藤堂は結城の言葉に笑ってしまい
『もちろん了解です。それじゃ駐車場に行きましょう。』
この後、結城は藤堂に車で館山駅まで送ってもらった。
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