胃潰瘍で入院した時

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検査が終わり内科外来の前の長椅子に座っていた。 敬子は横に座っている結城の顔を見て 『何でもなければいいんだけどね。』 結城は溜め息を吐き心配そうな表情で 『ホント何でもなければいいんだけどな。何だか怖いよ………』 敬子はにっこり笑って自分の腕を結城の腕に絡めて 『溜め息吐いちゃ駄目だよ。私が居るんだから怖くなんかないよ。大丈夫だから。』 その時内科外来の出入口から看護師が 『結城さ~ん、中にお入り下さい。』 敬子は心配そうな表情をしている結城に 『純君、呼ばれたよ。』 結城は一度深呼吸をしてから立ち上がり 『うん、行ってくるね。それじゃ待ってて。』 敬子はにっこり笑って 『うん、待ってるね。』 看護師は敬子の側に来て 『すみません。お連れ様も一緒に中にお願いします。医師からお話しがあるので。』 敬子は看護師の言葉に驚き 『お連れ様って私も中に入るの?』 看護師はうなずき 『結城さんと一緒に中にお入り下さい。』 結城と敬子はお互いに顔を見合わせた後に内科外来の出入口から中に入って、二人は診察室手前の椅子に座った。 結城は小声で不安そうな表情をしながら敬子の耳元で 『お連れ様も一緒でって、もしかしてヤバイかもしれないね。』 敬子は結城を安心させる為に結城の手を握り、小声で結城の耳元で 『大丈夫だから。私が居るから大丈夫だよ。』 結城は敬子の優しさと笑顔に不思議と気持ちが安心していた。 結城は敬子の肩に頭を乗せ 『暫くこうしててくれないかな?』 敬子はにっこり笑って 『呼ばれるまでいいよ。』 暫くして診察室から看護師が 『結城さん、お入り下さい。』 結城と敬子は診察室の中に入って椅子に座った。 ……………… 医師がモニターの電源を入れ 『先程やって頂いた胃カメラの結果なんですが、モニターを見て下さい………』 結城と敬子は医師に言われるがままモニターを見て医師は 『これは胃の中なんですが、命には関わらないです。ご安心下さい。』 医師の言葉に結城と敬子はお互いを見合って安心した。 医師は話しを続け 『病名は胃潰瘍です。命に別状がないんですが………ちょっと酷いですね。』 結城は医師の診断に 『飲み薬で治るんでしょうか?』 医師は診察室の中に掛けてあるカレンダーを見て 『飲み薬と言うより、暫く入院が必要なので来週の月曜日から入院しましょう。』 結城は医師の言葉に驚きを隠せず 『に、入院ですか………』 医師はにっこり笑って 『ちょうどいい機会だと思います。ここで胃を綺麗にしましょう。』 敬子は心配そうに結城に 『入院って大丈夫なの?』 結城は 『上司の渡瀬さんに言って調整してもらうよ。』
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