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診察の前夜
真夜中に結城は目を覚まし同じ布団で寝ている敬子を見ると
『あれ?眠れないの?』
敬子は天井を見上げていた。真横で寝ていた結城に声をかけられ結城の方に体を向け
『ごめん、起こしちゃった?何だか眠れなくて』
結城は敬子を心配し
『どうした?眠れないって何かあったの?』
敬子は寂しそうな表情で
『うぅん、何もないよ。何もないけど………』
結城はにっこり笑って優しく敬子に
『どうした?俺にも言えない事なの?』
敬子は結城を見ながら
『あのね、純君が胃潰瘍になって入院して、それから退院して、私が純君の食事制限のメニューを作って、それで明日の診察………家族と居るより純君と居る時間の方が長かったじゃない。』
結城はうなずき
『そうだね。俺が胃潰瘍になって敬子とずっと長く居たよね。』
敬子は泣きそうな表情で
『私ね純君のお世話が出来て凄く幸せを感じてるの。』
結城は黙って敬子の話しを聞いていた。
敬子は涙を流して
『でももうそろそろ純君は仕事に復帰するだろうし、また普段の生活に戻っちゃうんでしょ。純君と会える日が少なくなっちゃうと思うとね………』
結城は敬子を自分の胸で抱き締め
『大丈夫だよ。今までみたく俺が休みの日は必ず敬子を優先にするからさ。その時はずっと一緒に居ような。会えない時は電話でもメールでも今までみたいに出来るじゃん。』
敬子は結城の胸の中で
『うん、わかった。ずっと純君と一緒に居たい………』
結城は自分の胸の中で抱き締めてる敬子に
『腕枕するからもう少し寝ようよ。』
敬子は結城に腕枕をしてもらい
『うん、ありがとう。』
結城は敬子にキスをしたあとに二人は朝まで眠った。
………………
鶴田病院駐車場
結城は診察を終わらせ会計を済ませ敬子と一緒に車に乗り込んだ。
助手席に座った敬子はにっこり笑って
『来週から仕事復帰が出来てよかったね。』
運転席に座ってエンジンを掛けてシートベルトを締めた結城は
『主治医が来週から仕事復帰って言われたし、食事制限も終わったしよかったよかった。』
敬子はシートベルトを締めて
『今からどこかに食事に行く?』
結城は駐車場から車を出しながら
『入院してる時は毎日お見舞いに来てくれて、退院してからは三食食事制限メニューを作ってくれて。敬子にお礼しないとね。今回も敬子がお店を決めなよ。ありがとう。助かったよ。』
敬子は笑顔で
『どういたしまして。って、本当に私が決めていいの?それじゃ、館山市にまた新しいお店があるらしいんだけどそこで良い?』
結城は笑って
『もちろん良いよ。それと………』
敬子は結城の言葉に
『それと何………』
結城は照れながら
『また敬子の手料理が食べたいな。』
敬子はにっこり笑って
『それじゃ今日の夕飯は館山市の新しいお店止めて私が作るね。途中でイオンに寄ってよ。』
結城は車を運転しながら
『館山市の新しいお店に行かなくていいのか?』
敬子は笑顔で
『純君が私の手料理を食べたいって凄く嬉しいから。館山市の新しいお店はいつでも行けるじゃん。』
この後に二人は安房鴨川駅裏にあるイオンに向かった。
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