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「普通ご飯よりそれが先よね。まあ、言ったって頭の悪いあんたには分からないだろうけど。」
「…ごめんなさい。」
「その言葉が嫌いだって何回言ったら分かるの?じゃあ具体的に何をしたらそれが直るの?」
「え、えと……。」
母親が大きく溜息をつく。
「いいわ。早く出てって。」
「……はい。」
ゆっくりとドアを閉める。自分の部屋にはいり、制服を脱いでパジャマを持ち、風呂に向かう。
体を一通り洗い終わって湯船に浸かる。玄関からドアが閉まる音が聞こえ、父親が帰宅する。
「ただいま。」
「おかえりあなた。」
母親が2階から降りてきて、父親と2人で食事を始める。
風呂から上がって髪を乾かし、歯を磨いて、キッチンに向かう。
「おかえり、父さん。」
父親はこちらを一瞥すると何も無かったかのように母親と会話を続ける。
「おやすみ。」
その2人に向かって声をかけると、母親が笑う。
「よくそんなに早く寝れるわね。勉強しなくていいのかしら?」
「よせ。こいつはもう勉強する価値なんてないだろう?こんなに勉強出来ないんだぞ?」
「そうだったわね。ごめんなさい、忘れてたわ?早く寝なさい。」
2人に小さくお辞儀をして部屋に戻ると部屋の電気を消し、英語の単語帳とスマホとともに布団に潜り込む。スマホのライトで単語帳を照らす。1時間経つと単語帳を閉じてライトを消して目を閉じる。
これが日常で、これからも続くと思っていた。
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