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 一大ブームメントなんて流行り病のようなもの。または飽きっぽい現代人の象徴と言わんばかりに、いつの間にか公園は以前の落ち着きを取り戻していった。  以前のように健太が御影石の下、頭の中に浮かんだ惑星群を想い想いに描いていたその反対側で、同じように地面に惑星群を描いている少年がいた。その少年は異国の少年のようで、肌の色は白く、目の色は淡く青味を帯び、灰髪の様相であった。  健太はその少年を見つけると、異国の人間に出くわしたという驚きよりもむしろ、どこか自分と似ているというような感情を抱いて、思わず話しかけた。 「この石、何に見える?」  異国の少年は健太を足元から頭までじっくり舐めてから、 「月」  健太に喜びと戸惑いという二つの感情が同時に芽生えた。自分と同じ世界観を持つ人間、だが見え方が少しだけ違う。そんな異国の少年に対し、健太には不思議と嫌悪という感情は生まれなかった。 「僕は健太。君の名前は?」 「アルチョム」 「アルチョムか。ねえ、アルチョム、明日もここに来る?」 「……うん」  迎えに来た母親に連れられて家に帰る健太は、どこか満足気であった。  同族に出会えた安心感、或いはアルチョムという異国の少年に向けられた純粋な興味は、小さな少年の心を浮かせるには十分な代物だった。公園を振り返った健太の目には、黒いスーツ姿の男性と共に公園を後にしていたアルチョムの背中が映り、健太は小さく、またね、と呟いた。
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