つぼみ

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つぼみ

 ――風が私の頬を撫で、髪を揺らした。  さ、寒い……。今日は入学式だからとせっかく髪も整えて来たのに、風のせいでぐちゃぐちゃになってしまった。知り合いはいないから、せめて格好だけは良くしようと思っていたのに。教室ではきっと、同じ学校の子達でグループが作ってあってボッチなんだろうな。なんでそんな高校入ったんだろう、私。いや、勉強せずに遊び散らかしていた私が悪いんだけど。  私は中三のときに勉強せずひたすら遊び散らかし、周りの子が行くような高校には行けなくなってしまうほどに学力が下がってしまった。元々私が行っていた学校は県内でもトップクラスの、頭のいい中学だったからというのもあるけれど。そういうことで、私は前まで頭が良かったのに平均クラスに落ちてしまい、この学校に入ることになった。ちなみに周りの子は県内有数の進学校に行っている。  少しの間そのころのことを考えていると、いつの間にか学校についていた。校舎が大きく設備も整っていて、昼食を食べたり植物を育てたりする庭もある。ここは北海道なのでまだ咲いていないが、4月下旬になると立派に咲くであろう桜の木がずらりとその庭に並んでいた。何ひとつ不自由のなさそうな素晴らしい学校だ。見学に来た時も一瞬でここにすると決めてしまったくらいには、私も期待している。  たくさん人が集まっているところに私は向かった。多分クラス分けが書かれているんだろう。覗きに行くと、やはりクラス分けだった。人数も校舎に比例して多いらしく、自分の名前を探すのにも一苦労だ。やっと名前を見つけた私は、そのクラスへ向かう。途中第二の難関、下駄箱探しも大変だったけど、クラス探しよりは簡単だったのですぐにクリアした。
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