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助けて!
今は、黒のウェディングドレスドレスから、薄いピンク色のウェディングドレスにお色直し中。
結局私の着たかったブルーのウェディングドレスは着れそうに無い。
私は深くため息をつくと、窓の外を眺める。
私はリリアーナ王国の皇妃ではなく、闇の王国の皇妃になってしまった。
さっきの誓のキスときたらなんて気持ち悪いことやら!
全身に虫唾が走ったわよ。
やりたくないって体全身でアピってたのに無視しやがって。
無理矢理、しかもベロ○ューよ!!
本当に許せない!!
はぁ。
また深くため息をつくと、カイトの顔を思い出した。
婚約までして結婚出来無いって、この屈辱、わかる?
いつの間にか私の中はカイト一色に染められてしまった。
会場にある椅子に座ると、司会者はどんどん式を進めていく。
結婚式は疲れるって聞いたことがあるけど、本当に疲れる。
私は終始うつむいたまま式を終えようとしていた。
『それでは、次は花嫁によるフラワートスです!』
会場の盛り上がりは最高潮に達する。
あぁ、魔界でもフラワートスするんだ。
などとどうでもいい事を考えながら、花束を握る。
もうどうなったっていいや!!
思いっきり奥へ花束を投げる。
後ろ向きだからやりづらいな。
私は振り返って誰の手に渡ったか目を泳がせる。
花束が目に入った。
誰が持っているのか目線を上げると。
カイト!?
そっか、私だけじゃないもんね。
カイトはイケメンだから、私より可愛い子を見つけて結婚するよね。
ズキズキと痛む胸を押さえながら目を合わせる。
「幸せに、なってください。」
まるで赤の他人に言うような口ぶりで言うと、すぐに会場をあとにする。
カイトが何か言いたそうだったが、ミサトと聖夜に止められているのを見た。
後ろからザギエスがついてくる様子はない。
個々ならいいか。
と私は地面にへたり込んだ。
カイトとの婚約を交わした婚約指輪を見つめる。
すると途端に吐き気に襲われ、急いでトイレへ向かう。
今になってキスが気持ち悪くなったか。
今まで体調不良など、軽い風邪くらいしかなかったのに。
はぁ。
私は深くため息をつくと、トイレを出た。
「皇妃様、もう結婚式には参加にならないのですか?」
カラスがトイレの前で待ち伏せしていたらしい。
まずは体調を気遣ってほしかったな。
「えぇ、体調があまりよろしく無くって。
部屋まで案内して頂戴。
……あと、式が終わるまで誰も部屋には入って来ないで。皇帝もよ。終わったら教えて頂戴。」
「畏まりました。」
やっとこれでひとりになれる。
このドレスも脱げるし、カイトと出くわすことも無い。
私は今日一番のため息をついた。
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