助けて!

1/4
前へ
/24ページ
次へ

助けて!

今は、黒のウェディングドレスドレスから、薄いピンク色のウェディングドレスにお色直し中。 結局私の着たかったブルーのウェディングドレスは着れそうに無い。 私は深くため息をつくと、窓の外を眺める。 私はリリアーナ王国の皇妃ではなく、闇の王国の皇妃になってしまった。 さっきの誓のキスときたらなんて気持ち悪いことやら! 全身に虫唾が走ったわよ。 やりたくないって体全身でアピってたのに無視しやがって。 無理矢理、しかもベロ○ューよ!! 本当に許せない!! はぁ。 また深くため息をつくと、カイトの顔を思い出した。 婚約までして結婚出来無いって、この屈辱、わかる? いつの間にか私の中はカイト一色に染められてしまった。 会場にある椅子に座ると、司会者はどんどん式を進めていく。 結婚式は疲れるって聞いたことがあるけど、本当に疲れる。 私は終始うつむいたまま式を終えようとしていた。 『それでは、次は花嫁によるフラワートスです!』 会場の盛り上がりは最高潮に達する。 あぁ、魔界でもフラワートスするんだ。 などとどうでもいい事を考えながら、花束を握る。 もうどうなったっていいや!! 思いっきり奥へ花束を投げる。 後ろ向きだからやりづらいな。 私は振り返って誰の手に渡ったか目を泳がせる。 花束が目に入った。 誰が持っているのか目線を上げると。 カイト!? そっか、私だけじゃないもんね。 カイトはイケメンだから、私より可愛い子を見つけて結婚するよね。 ズキズキと痛む胸を押さえながら目を合わせる。 「幸せに、なってください。」 まるで赤の他人に言うような口ぶりで言うと、すぐに会場をあとにする。 カイトが何か言いたそうだったが、ミサトと聖夜に止められているのを見た。 後ろからザギエスがついてくる様子はない。 個々ならいいか。 と私は地面にへたり込んだ。 カイトとの婚約を交わした婚約指輪を見つめる。 すると途端に吐き気に襲われ、急いでトイレへ向かう。 今になってキスが気持ち悪くなったか。 今まで体調不良など、軽い風邪くらいしかなかったのに。 はぁ。 私は深くため息をつくと、トイレを出た。 「皇妃様、もう結婚式には参加にならないのですか?」 カラスがトイレの前で待ち伏せしていたらしい。 まずは体調を気遣ってほしかったな。 「えぇ、体調があまりよろしく無くって。 部屋まで案内して頂戴。 ……あと、式が終わるまで誰も部屋には入って来ないで。皇帝もよ。終わったら教えて頂戴。」 「畏まりました。」 やっとこれでひとりになれる。 このドレスも脱げるし、カイトと出くわすことも無い。 私は今日一番のため息をついた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加