1

14/45
前へ
/45ページ
次へ
「ああ、あの弟君ね。真壁、ってサッカー部のクラスメートなんだけど、戦力減少って泣いてたよ」 「そうなんだ」 練習キツいから辞めるって言ってたけど、惜しまれるってすごい。さすがは清太。 鞄に筆箱を戻し立ち上がる。 「じゃあ帰るね。コーヒーありがとう」 「うん、またね江藤」 手を振る岩本に、そういえばと首を傾げる。 「岩本、アナニーするの?」 「アナニー?」 同じく首を傾げる岩本に、あれ、と悩む。 「会長に聞いたんじゃないの?前立腺…アナル弄るのかって…」 岩本はほんのり頬を染め、視線をさまよわせた。 「ああ…うん。…気持ちいいよ?俺は自分だとうまく触れないから、してもらってるけど…。江藤は自分でするの?」 「俺は昨日してみたけど、なんか微妙で」 「そう?でも慣れると、毎日したくなるよ」 そうなんだ。じゃあまたやってみよ。 「ねえ岩本」 「ん?」 「誰にしてもらってるの?」 岩本は照れくさそうに笑い、恋人、と教えてくれた。 買い物をして帰宅する。思い出すのは岩本の幸せそうな笑顔。 いいなあ恋人。俺も恋人欲しいけど、無理だよなあ。 玄関で靴を脱ぎながら、行儀よく並んでいる見慣れない靴に気がついた。 清太の友だちかな。早くシャワーして服を脱ぎたかったのに、と恨めしく思ってしまう。 買い物袋をダイニングテーブルへ置いてから、自室へ行く。 清太の部屋から賑やかな声はせず、何をしているんだろうと不思議に思う。 清太の連れてくる友だちは、いつも騒々しいのに。 制服を脱ぎ、いつもならそのまま裸でいるんだけど服を着る。 あんまり部屋から出ない方がいいのだが、これといってすることもない。 夕飯作りたいけど、ニアミスして清太に怒られたくないし。仕方ないので勉強をすることにした。 前髪が邪魔で、少し悩んでから七三分けにしてピンでとめる。部屋を出るとき取れば、大丈夫だよな。 六時まで部屋で粘ったが、もうさすがに夕飯を作らないと。物音はしなかったけど、気づかなかっただけで友だちも帰ってるかも。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加