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「ああ、あの弟君ね。真壁、ってサッカー部のクラスメートなんだけど、戦力減少って泣いてたよ」
「そうなんだ」
練習キツいから辞めるって言ってたけど、惜しまれるってすごい。さすがは清太。
鞄に筆箱を戻し立ち上がる。
「じゃあ帰るね。コーヒーありがとう」
「うん、またね江藤」
手を振る岩本に、そういえばと首を傾げる。
「岩本、アナニーするの?」
「アナニー?」
同じく首を傾げる岩本に、あれ、と悩む。
「会長に聞いたんじゃないの?前立腺…アナル弄るのかって…」
岩本はほんのり頬を染め、視線をさまよわせた。
「ああ…うん。…気持ちいいよ?俺は自分だとうまく触れないから、してもらってるけど…。江藤は自分でするの?」
「俺は昨日してみたけど、なんか微妙で」
「そう?でも慣れると、毎日したくなるよ」
そうなんだ。じゃあまたやってみよ。
「ねえ岩本」
「ん?」
「誰にしてもらってるの?」
岩本は照れくさそうに笑い、恋人、と教えてくれた。
買い物をして帰宅する。思い出すのは岩本の幸せそうな笑顔。
いいなあ恋人。俺も恋人欲しいけど、無理だよなあ。
玄関で靴を脱ぎながら、行儀よく並んでいる見慣れない靴に気がついた。
清太の友だちかな。早くシャワーして服を脱ぎたかったのに、と恨めしく思ってしまう。
買い物袋をダイニングテーブルへ置いてから、自室へ行く。
清太の部屋から賑やかな声はせず、何をしているんだろうと不思議に思う。
清太の連れてくる友だちは、いつも騒々しいのに。
制服を脱ぎ、いつもならそのまま裸でいるんだけど服を着る。
あんまり部屋から出ない方がいいのだが、これといってすることもない。
夕飯作りたいけど、ニアミスして清太に怒られたくないし。仕方ないので勉強をすることにした。
前髪が邪魔で、少し悩んでから七三分けにしてピンでとめる。部屋を出るとき取れば、大丈夫だよな。
六時まで部屋で粘ったが、もうさすがに夕飯を作らないと。物音はしなかったけど、気づかなかっただけで友だちも帰ってるかも。
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