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気合いを入れ直し生徒会室へ入ると、そこには副会長がいた。 ……うわ副会長久しぶりに見た。めっちゃ可愛い。 清太の友だちのあの子も可愛い感じだったけど、副会長の可愛さってば群を抜いてるよな。 「うお江藤だ。なんかすっげー久しぶりじゃん。俺のこと避けてなかったか?」 不機嫌な顔も可愛いなあと思いつつ、視線をさまよわせる。 「そ、そんなこと…ない」 「そうかあ?つかお前、相変わらず前髪長すぎ。目が見えねーよ」 手を机につき、座っているパイプイスを斜めに倒して揺らしながら言う副会長に苦笑する。 「め、目付き、よくない、から」 「そうかな?すっきりしたきれいな二重だと思うけどな」 背中からかかった声に振り向くと、岩本が立っていた。 「待たせちゃったかな、ごめんね。副会長は危ないから、それやめなよ」 「へいへい」 俺の背を軽く押しイスへと促す岩本に、副会長の向かい側へ行き腰かける。 「コーヒー入れるね」 岩本がコーヒーを入れている間、副会長が机に身を乗り出して俺をじろじろ見てるのに冷や汗がでる。 な、なんだろ。そんな見られると緊張するんだけどな。 「んー、なあ江藤。ちょっと前髪あげてくんね?目が見えねーよ」 口を尖らせる副会長に、戸惑いつつも前髪を片手であげてみた。 「こ、こう?」 「おお、…おう?」 目を大きく開いて俺を見る副会長に、じわじわと顔が熱くなり視線をさまよわせる。 なんだろ。さっきより視線が痛い気がするんだけど。 身を乗り出すようにして、俺の顔を見る副会長に目をぎゅっと閉じて耐える。 「おー、なんつうか…あー…。岩本ー、俺江藤お持ち帰りしたいんだけどー」 つん、と額を突かれ、目を開け副会長を恨みがましく見つめる。 「え?あ、江藤がかわいい顔になってるね」 紙コップを手に笑っている岩本に眉を寄せる。 かわいいって。それは副会長の代名詞みたいなものなのに。 「は、はっきり言ってもいいよ。どうせ、どうせ俺は根暗だし」 目つき悪いし友だちいないしと、半泣きで伝える。
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