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副会長を引き離し、窓を閉めてカーテンを引く。あ、カーテンは余計だったか。まあいいや、もう閉めちゃったし。 「なんだよ江藤、いきなりー」 口を尖らせてパイプイスに腰かけた副会長。勘弁してくださいなんなのこの人ー。なんでいきなりあんなことするかなー。理解できない。 うう、帰ったら清太に謝らなくちゃ。怒られるかな。怒られるよな。怒られたくないよー。 「つーかお前ら兄弟ってあれな、凸凹兄弟だよな。俺も兄弟欲しいけど、あんなでかい弟はいらねーなー」 あげないよ!清太は俺の弟だよ!副会長になんてあげないから! うー、あー、もう今日は帰ろう。帰って清太の好きなカツカレー作ろう。いつもはスーパーの出来合いのカツ使ってたけど、今日はそれもしっかり揚げよう。それとデザートにハーゲンダッツもつけよう。甘いもの好きじゃない清太がこれなら食えるって言ってた紅茶味の。あれ期間限定だったかな。 あと揚げ物するならかぼちゃも揚げよう。俺が好きだからかぼちゃの素揚げ。よし決まったスーパーに寄って帰ろう。ついでに両親の好きなかぼちゃコロッケも作ろう。AV買いすぎだと怒られないよう、お手伝い偉いねポイントためときたい。 そうと決まればさっさと帰ろう。 「あの、副会長、俺先に帰るから」 「あー?なんで。今来たばっかじゃん。スマイル練習するってーから来たんだぞ俺は」 口を尖らせたままの副会長に睨まれ、びくりと震える。いやいや無理だよこんな状況で。清太が怒ってるかもしれないのに笑顔の練習なんてできないから。 「いや、あの、かい、買い物あって、その」 「んだよもー。じゃちょっと練習してからな。とりあえずあれだ、前髪あげろ表情わかりづれーから」 はいゴム、と副会長はテーブルにオレンジのゴムを放ってきた。お、押しが強い。なんでこんなにぐいぐいくるかな。岩本ー、岩本ー、副会長怖いよー。 早くしろと視線で命令してくる副会長に、渋々ゴムを手に取り前髪を結わく。 視界がすっきりして、副会長の顔がよく見える。うっわ、可愛い。やっぱり副会長って可愛いな。なんか直視するのが恥ずかしい。 「おお、いいな。もうあれだな、前髪切っちまったほうがいいんじゃねーの?俺切ろうか?」 テーブルに身を乗り出す副会長から、慌てて大きく離れる。 「いや、いやそれは、あの、か、髪は清太が、じゃなくて弟が…」 「いやいやなんで江藤の髪型を弟が決めてんだよ。友だち百人作るんだろ?」 え、そんなこと言った記憶ないけど。あれ、でもそれくらい目標高いほうがいいのかな?友だち百人もできたら清太の友だちにも紹介してもらえるかな。
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