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買い物をしてから帰宅したら、玄関に知らない靴が置いてあった。清太の友だちが来てるのかな。前にニアミスしたうちの生徒のっぽい。たしかこんな靴だった気がする。 ダイニングに買い物袋を置き、自室へ行く。今日は部屋から出ないようにしないと。制服を脱ぎ、私服に着替えようとしたらバタバタと騒音が聞こえてきた。おお、にぎやか、なんて思っていたら部屋の扉が勢いよく開いた。へ? 「おまっ、ふざけんなっ」 開いた扉の所で、目を大きく開いて俺を凝視しているのはこないだの人だった。清太と一緒に帰っていた、少し可愛い感じの生徒。その後ろから届いた清太の怒鳴り声にも驚き固まってしまった。 「え、あれ?こないだのお兄さん?」 「え、あ、はい…」 んんん?なんだろう。どうでもいいけど清太怒ってるみたいなんだけど、俺何もしてないよね? 「来いバカっ、わりい兄貴。それと早く服着ろ」 「あ、うん」 いや、今着替えようとしてたんだよ? 「うえ、ちょ、いいじゃん、お兄さん俺青木っていいます!一緒に遊びましょ!」 清太に首根っこを引っ張られながら、そんなことを言う青木?くんに首を傾げる。 「学校どこですかっ、俺と付き合いませんか!一目ぼれなんですっ」 暴れる青木くんとそれを取り押さえようとしている清太を見て、一歩後ろに下がる。 「清太…」 その人なんか気持ち悪い。今にも飛びかかってきそうで怖いんだけど。 「殺すぞ青木、いつから趣旨替えしやがった!」 「だって妖精がぁー」 ああ、いっちゃってる人なのかな。清太の友だちってにぎやかな人が多いな、と感心しながら引きずられていく青木くんを見送り、そろそろと扉へ近寄りパタリと閉めた。 夕飯を作るためにこそこそと下へ行き、靴を確認したら青木くんはもう帰ったみたいだった。清太の靴もなくなっていたので、ふたりで遊びに行ったのだろう。 清太は友だち多いからな。俺も友だち欲しいと思ったところで、頭の中に岩本がぽんと現れる。 「あ、岩本友だちだ」 そうだった。俺にも友だちいたと思い出してご機嫌になる。 シャワーを浴び、ようやく裸になれ人心地ついてから夕飯を作りおえる。あとは清太が帰ってくるのを待つばかりなので、部屋からAVを持ち出し大画面での鑑賞会を開始した。 こないだ頼んでいたのが届いていたのだが、まだ見ていなかったのだ。 女優さんが笑顔で現れ、次の瞬間には絡みだした。おっと、余計なストーリーやインタビューはなしか。この人胸が小さいんだけど、身体が柔らかいのかすごい体勢でするんだよな。おお、あんなに足が上がっている。壁に押し付けられ、片足を高く持ち上げられたまま一気にインサート。甲高い女優さんの声に目が離せなくなる。 食い入るように見ていたら、清太が帰ってきた。 「ただいま、ってまた見てんの?」 「おかえりー。これは新作だよ。ご飯食べちゃう?」 「ん、手洗ってくる」 テレビを消して、みそ汁を温めなおしにキッチンへ向かった。 清太とご飯を食べているときに、さっきの青木くんの話になった。学校であっても話すなよと念を押す清太だけど、青木くん同じ学校だって知らないから大丈夫だと思う。
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