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今日は春山と茜さんの結婚式。
親族だけで行われる。
さくら歯科クリニックは休診。
◇◇◇◇◇
「おかえりなさい。茜さん綺麗だった?」
その日、結婚式が終わってから 秀一は僕のところに帰って来てくれた。
お披露目会は明日だ。
「ドレスが綺麗だった」
ネクタイを外しながら言うお兄ちゃん。
「ドレスって………もう………ふふ。お兄ちゃん 寂しい?」
「は?んなわけないだろ。清々した」
もう………。強がっちゃって……。顔が不貞腐れてるよ。ふふ。
「……兄妹っていいな。僕、ひとりっ子だから羨ましい」
「琉生には俺が居る」
そう言って抱きしめられた。
◇◇◇
「明日はお披露目会だろ?」
お風呂から出て晩酌をしながら話す。
「うん。ボヌールで十一時から」
「明日もゆっくり出来ないな」
ちょっとムッとしてる。
「終わったらすぐ帰って来るから、ここで待ってて?」
頷いて ビールを呑む。
秀一がスマホで撮った写真を見せてくれた。
茜さんは真っ白なドレスで凄く綺麗だった。春山も茜さんも幸せそう…。
これからふたりで歩いていくんだと思うと……ちょっと、羨ましかった…。
こんな風にみんなに祝福されることはない僕たちの関係………。
突然 ベシッ とおでこに痛みが来た。顔を上げるといつの間にか秀一が側に来ていた。
「こら。まーた変なこと考えてる。俺たちは俺たちだ。比べることなんかない。大体比べること事態が間違ってるんだ。幸せなんて人それぞれだろ?」
ニヤッ と笑ったと思ったら気付いたら押し倒されてた。
びっくりして秀一を見上げた。
「俺だけのことを考えろ」
そう言って口内を貪られた。
秀………秀一……その一言で……僕は泣きたくなるくらい 幸せなんだ………。
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