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「魔王!どこだ!」
俺を護るように囲んだ魔族が、その体から溢れる強大な魔力を抑えもせずに全員が扉を睨んでいた。
何度も叩いているのか、音の大きさからもしかしたら蹴っているのかもしれない。
ガン!と最後に大きな音を立てて開いた扉から顔を出したのは、俺よりはデカいと思われる男がいかにもこれは『聖剣』ですけど?というような大剣を担いでいて、横には黒いフードの着いたマントを羽織った男が見たことない形の杖を持っていて、白いフードの着いたマントを羽織った女は二つ先のちょっと大きな村の神殿にいた人が持っていた杖を持っていた。それから『聖剣』だろうと思われる剣よりは小振りな剣を持った男の四人。
時期的にも「勇者御一行様」であることは間違いない。
勇者に黒魔法を使う男と浄化魔法を使う女、それから剣士といったところか。
ここに辿り着くまで幾度も死線をくぐり抜けたであろうその姿はボロボロで、一刻も早く魔王を討伐し王都へ戻りたいのだろう。
こちらを確認した勇者だと思われる男が大剣を構え、血走った目でブツブツと何かを呟いている。
気付いたマルティナが四人を囲むように結界を張るのが見えた。
それでも彼等は殺気を隠さず、多分大魔法と呼ばれるものを放ったのだろう。結界の中で爆発が起こり彼等は自爆した。
結界に気付かなかったのか?あの禍々しさは、村の子どもなら歩き出した時には感じる事が出来たぞ?
結界の中が落ち着き、もくもくと立ち込めた煙が無くなったら黒焦げになりかけた『御一行様』が半べそをかきながら「やっりやがたなあ!」とこっちを睨んでいた。
いやいやそれは君たちが・・・なんて理屈は通らないんだろう。すわ決戦か!といった風情だったが流石にこれは我慢の限界だ。
「アホかー!!!!」
そこにいた十人、いやガルを入れれば十一人か。その全てが驚いた顔をして俺を見る。
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