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 ふりかえると姉がいた。  私がぬいぐるみにあげた黒いヘッドドレスを素肌の上から直接胸に巻いて、棒立ちしていた。  あのヘッドドレスは総レースでヒモでくくるタイプだ。元来それは頭に着飾る。  案の定胸囲に布地がおっつかず、ぶちぶちと糸が悲鳴をあげていた。まずい、はちきれそうだ。  こいつはなにをしてるんだ。 「さっきの白衣、まだ使えそうだしもらってあげる」  たまらず、手が出た。  強烈な一撃だ。  自分がやったと思えない神業にぞくりとする。    大きく振りかぶった右手は寸分の狂いもなく、みごと一振りで姉からヘッドドレスを奪還し そのまま彼女の大胸筋にそれを叩きつけたのだった。  後日、ごみは全て捨てることに成功した。
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