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 私は黒の巨体に手を添えた。  しっとり、艶やかな毛なみ。日頃の美味しいご飯の成果がでている(私の毛繕いもだ)。  そのまま手をベッドと体のさかい目に潜り込ませた。が、重い! 重すぎる! うっ血しそうだ! 顔に乗せている時とはまるで違う。これは漬け物石か?  耐えきれず手を引っこ抜いた。時間差で掌に血がめぐる。むず痒い。額には油汗がにじんでいた。 「やはり、みーさんでも無理か」    姉は嫌味っぽく言った。  真冬の早朝に起こしておきながら、この言いぐさ。腹にくる。  私はムキになってもう一度試した。  今度は大胆に。かつ迅速に。力を瞬間的に爆発させれば持ちあがるはずだ。  ズズズッ! 「ぐるるるるるううううう」  地響きの如しうなり声が、私の動きを止めた。  まずい、黒が起きた!
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