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立ち入り禁止の教室内
ガラッとガラスのはまった戸をスライドさせる。
教室の後ろの戸だ。
どことなく埃っぽいような冷気が、中から漂ってきた。
中を覗くと、普通の教室を物置にした感じだ。
教室前方の壁には大きな黒板が据え付けられているし、使われていない机や地球儀、大きな巻物の地図などが埃を被った状態で雑多に置いてある。
―― 何だ、物置なんだ。
少しホッとしながらも、一同は足を踏み入れた。
そして自分達の正面、本来中庭が見えるはずの窓を塞ぐように置かれた ” モノ ” に目を向ける。
光を遮り室内を薄暗くする一因を担うソレは、学校にあるには不自然な家具だ。
―― クローゼット?
観音開きの、薄茶色の大きなクローゼット。
開いたら、お父さんの背広やネクタイが入っていそうな雰囲気だったが、場にそぐわないソレは異彩を放っていた。
雑多にモノが置かれている室内なのに、不思議とそのクローゼットまでの間は、綺麗に道が出来ていた。
クラスメイト達は、フラフラとそのクローゼットへと吸い寄せられるかのように近づいて行く。
そしてその真ん前に立った時、少女達は顔を上向け、あるモノに気が付いた。
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