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「……あ?」
「いや、ごめ……なんか……へ、変、なのかな」
「あー……疲れてんのか?」
散々抱き合った後、阿南が愛撫し尽くしたため、、井筒の精液はその掌を思い切り汚した。その倦怠感に包まれながら、井筒は阿南からされる行為を受け入れてくれていたが、なんだかもたつく。不思議そうな顔で体を少し起こす井筒に、阿南は慌てたけれど、視線の先は隠しようもなかった。
本当に井筒を抱けるんだと思ったのが良かったのか悪かったのか……愛しいのに緊張しすぎてなかなか勃起しなかったのだ。
「ごめ、ご、ごめんなさい……っ……お、俺、なんか緊張してっ」
「……」
今まで散々体を重ねてきて、おそらく井筒よりも場数も多いだろう阿南なのに。ガチガチに緊張しているのは井筒にも伝わっているんだろう。今までのチャラさはなんだったんだ……と井筒は少し呆れた声を出した。
「据え膳は我慢できないんじゃなかったのかよ」
「ちが……っ、お、俺だって、今までこんなこと……っ!」
「あー……悪い、そういう意味じゃなくてだな……」
あまりのことに情けなさからか泣きそうになってしまう。井筒は体を起こして、ガシガシと頭を掻いて、えーと、と阿南の方に視線をやった。
「あー、俺が舐めてやろうか」
「え?」
「お前、舐めて、って前に言ってただろ」
「いや、言ったけど!言ったけどね!?」
井筒はそう言いながら、少し戸惑いつつも阿南の股間に顔を近づけてくる。そして、まだ半分も勃起していないそれを掴むと、あー、と口を大きく開けて咥えた。
「うそ、まじ……え、ま……?あ……っ」
「ん、こう?」
「っ……ぁ、な、なんでも、いい……っ」
「んなこと言われてもな……しゃぶるのとか初めてだしよ。うーん、こことか?」
「っ!いや!ちょっ、しゃ、喋りながらしないで!?」
あわあわ慌てている阿南が面白いのか、井筒はからかうように舌を出して見てくる。その視線が挑発的で、嘘、本当に、と阿南の中で混乱と興奮が混じっていった。
「あ……、ぁ、待って……待って……っ」
「……お前、本当はそんななの?いつもの勢いはどーしたよ」
「っ!だって、い、井筒さんが、舐めてくれるとかっ……」
どうしようどうしようと思わず口元を抑えていた阿南だったが、興に乗ってきた井筒の舌の感触に煽られていく。根元から先端までをべろりと大きな舌で舐めあげられる。
井筒は普段は強面で無表情だが、口は大きく、あ、と開けきると犬歯が見えてそれが可愛い。そんなことを思ってるなんて相手はわかっているんだろうか……。阿南は自分の下半身からくる卑猥な音に高ぶりながら、その黒髪を撫でた。いつもと違って乱れているその髪越しに、切れ長の瞳が必死に自分の性器を見つめて舐めそぼっている。その視界のヤバさにぐらりとした。
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