高値で売れた

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 父親の意見ですんなりまとまった後、他にも売り物がないか探していると、汚れた木箱から灰褐色の壺が出てきた。30センチメートル以上の高さで、口の細さから花瓶とは言いがたく、酒壺のように思えた。箱の表面に崩し字で何やら書かれているが、所々読めるものの、素人にはさっぱりだ。 「これも、5,000円でいいんじゃないか?」  その根拠はあってなさそうな父親だが、そもそも審美眼を持ち合わせていない三人が主張し合ったところで値付けが出来ないので、鶴の一声で決まった。  金ピカの香炉とか出て来れば、さすがの三人も色めき立っただろうが、あいにくそのような金目の物はなく、地味なものばかり出てくる。  結局、先の2つの品に思いを託し、もし高く売れれば今回選ばなかった物を次回売りに出そうとなった。お金を払って粗大ゴミに出すよりは、少しでもお金が戻ってくる方に気持ちが傾くものだ。  ミヤビはスマホで抽象画と壺と箱を撮影し、モバオクと言った以上、違うところに出品するのも両親の手前出来ないので、そこの会員になって出品した。
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