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気に入った物をオークションで買ってみた
結局、抽象画は12万円、壺は5万円で落札された。そうやって高い値段が付くと、納屋で埃を被っていたあのガラクタたちに箔が付いてくるから不思議である。手元に置いていても仕方ないから処分したのに、急に、もったいないことをしたなと後悔の念に駆られる。
数字は魔物である。
スマホに目を落とすミヤビは、落札済みの画面から自分の部屋の壁へ目を向けた。
「あそこに、綺麗な絵があるといいなぁ……」
それから整理ダンスの上へ視線を移動する。
「あそこに花瓶があってもいいかも」
それまで絵や陶磁器にあまり興味がなかったミヤビだが、他の落札済みの絵画や陶磁器を見ているうちに、手頃な値段で終了しているのがいくつもあったので、少しずつ部屋を飾る物としてそれらが欲しくなってきた。
その前に、世間でどう売られているかの下調べ。
会社の帰りに画廊を覗いてみたが、目が飛び出るほど高額で、なにより店員がしつこく勧誘してくるので逃げ帰った。
陶磁器の店は、惚れ惚れする物は想定よりゼロが1つ多く、手頃とは言いがたい。
フリーマーケットも気になるが、遠方とあっては女企業戦士の休息の時間が削られる。
結局、お手軽なネットオークションが楽かも、と結論づけた。
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