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1. 取材依頼
「ベトナム戦争を取材してくれないか?」
27歳のジャーナリスト斗馬は、ある日突然、大手新聞社から依頼を受けた。
ケネディ大統領暗殺後、アメリカの南ベトナムへの軍事介入は続き、世界の注目を集めている。
大手新聞社は斗馬の筆力を見込み、事前にかなりの報酬をオファーした。
金がない斗馬には魅力的な依頼だ。
現在、ベトナムは非常に危険な状態にある。共産主義の北ベトナム、民主主義の南ベトナムを応援する各国の軍人が派遣され命を落としている。
しかし、第2次世界大戦の空襲以上の恐怖に遭遇するかと思うと、斗馬のジャーナリストとしての血が騒ぐ。斗馬は依頼を即座に受けた。
ベトナムへは仕事仲間のカメラマンの明も同行する。明も金がなく斗馬と同じ貴重な経験を求めている。
明は、物静だが報道への強い熱意を持ち、想いを語る。
「サイゴン市内で、仏教徒の僧侶が焼身自殺を図った報道をテレビで見た。国内の紛争だったのがいつの間にかアメリカとソ連、中国の大国間の争いになっている。…何かがおかしい。」
南ベトナム軍はアメリカ軍の指揮の元で「南ベトナム解放民族戦線(通称:NLF)」を敵として戦っている。NLFは北ベトナムの軍というよりは、独立を志す共産主義以外ではない若者も多く所属している。
NLFはベトナムの国土をよく知り、自らの命をかえりみない。その戦い方に米軍は苦戦しているようだ。
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