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オパルの涙とチューベローズの花冠
ここは人里離れた高原にある学校。
この学校の生徒は女子ばかりで、彼女たちは寄宿舎で生活をしている。寄宿舎への持ち込みが許されているのは、着替えと眼鏡などの医療品、学校での勉強で使う筆記用具。それと、幼い頃から一緒に暮らしている鉱物を食べて育つ自律式の人形だけだ。
この学校に入学するときに、専用の馬車でやってくる者も多少はいるけれども、多くの生徒たちは徒歩三十分ほど学校から離れた駅に汽車でやってきて、人形と一緒に歩いてここへと到る。
この学校に入れば卒業までは街へと出ることが禁じられるけれども、生活には不自由しないように配慮されているし、そもそもこの学校に来る生徒の大半が、賑やかな街の喧騒には馴染めないでいるのだ。
生徒たちが連れてきた人形は、昼間は生徒たちとお揃いの制服を着て、夜も生徒たちとお揃いの寝間着を着て過ごす。その様はまるで、人間と人形の境が無いかのようだった。
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