第二章

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第二章

それから付かず離れず、床に寝ることはなくなったけれど、まだ普通に一緒に生活するとまではいかなかった 足をうまく動かせないこともあって1日のほとんどをベッドの上で過ごした この一週間でわかったことがいくつかあった 一つは、男は本当に俺を痛めつけるつもりがないらしいということ。 逆によく世話を焼かれる 風呂まで連れて行かれたり、食べ物を運んできたり、至れり尽くせりだ だがまだ不確定だ 俺の発情期 月周期でくる発情期、それは強い抑制剤を飲んでも簡単には抑え込めず、性欲に翻弄される日々を送ることになる 以前の男は俺の発情期をすごく気に入って面白がっていて、必ず酷くされた そして社会ではサブの発情期にあてられたドムが男女問わずレイプや暴行をするといったニュースが横行していた この男は特に強いドムだ どうなるかわかったもんじゃない それともう一つ、男の名前 「晶に名前で呼ばれたいな」 「、…むり」 「言ってみてよ」 「、むりだって、まず名前知らないしっ…」 「あれ言ってなかったっけ?ゆいだよ、理由のゆうでゆい」 結局その時は呼ばずに無視を決め込んだ わざとこちらに聞こえるように悲しそうな声を出されたけど 由、聞いたことのない名前だった もしかしたら自分は彼を知っているのかもと思ったこともあったが、そういうことでもないらしい 余計に深まる男の謎 彼の目的がわからない 男への恐怖心から、最初は何度も外へ解放しろと主張していたが、彼は決してうんとは言わなかった そのかわり眉尻を下げて微笑んでいた 外に出ても行くあてがなく、満足に仕事ができるわけではない また風俗店に逆戻りという結末になるのかもしれない そう思うと、由の場所にいるというのは大変魅力的で、ずっとここにいてもいいかなんて思い始めていた そんな矢先、俺の発情期が来た
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