第二章

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「…ふっ、…。」 「晶?」 「んっ、…っなに…?」 「え晶どうしたの?顔は赤いし息上がってない?もしかして、」 「…っは、ちがう、」 「あーうん。これは完全に発情期の症状だね、体も熱いし苦しいでしょ」 おでこに触れる手を払う 恐ろしい こんな身体に生まれてきたことが 薬を飲んでどんなに対策をしようが本能には逆らえない強い欲望が 人間とは理性があるから人間なのだ 発情期のサブは人間以下 獣のような今の姿を由に見られるなんて、心していたにしても堪えるものがあった 動悸が激しくなる 舌を出して空気を力一杯吸って跳ねる心臓を落ち着かせようとする 視界が涙でぼやけるもそんなことを気にする余裕はないし、 涙を拭く腕は今や自分の身体を強く抱いて欲を誤魔化すのに必死だった 「あーつらそうだね、よく効くって有名な抑制剤を毎日飲ませてたのにこんなになっちゃうのか。」 「…っ、ふぅっ…はっ、」 「うんうん、イキたいねぇ。番になってくれるドムがいればその苦しいのもだいぶよくなるのにね、晶のことが大好きなドムがいればすぐに連れてきてあげるのになぁ。」 こちらが踠いて少しでもこの熱を逃がそうと必死になっているのを、余裕そうに観察する由を睨みつける 以前は発情期に入った途端昼夜問わず犯され、両手で数えられないくらい強制的に追い詰められて射精させられた 男から解放されてから初めての発情期は、自分でどう処理すればいいのかわからなかった 「…っくそっ、でてけっ、!」 「うん、本当に出て行っていいの?よく考えてみて、晶のことが大好きなドムってもしかしたら俺が一番適任なんじゃないかな?晶が俺の名前を呼んでくれたら助けてあげてもいいなーって考えてたんだけど」 どうする?とこちらに投げかけてくるものの、それは質問というよりも、“はい”しか解がないように思えた 「、つがいはやだっ、!はっ、首輪なんてしないっ…、!」 首輪はやだ 発情期ですでに獣みたいなのに、さらに人間の尊厳を削られる気がした 腕を回した身体がブルブル震えるていて、もう限界なのがわかる 我慢しなきゃ でも理性はそう強くはなくて 股間に手が伸びた頃には由の存在を完全に頭の外だった そこにもう少しで触れるという時に横からばっと手を掴まれた それが再び由を認識した時だった 「うんそっかわかったよ、番契約は追々でいいや」 「、はなしてっ…!」 「じゃあイキたくてしょうがない晶くんは俺になんか言うことない?」 「っ、あっ…、ふっ…、わかんなっ、やめてっ」 「由って呼んでくれるんじゃなかった?そしたら俺が晶のこと気持ちよくしてあげるよ」 もうなんでもよかった この熱を冷ましてくれるならなんだってできた 「っ、ゆい、ゆいっ、…おねがぃ!」 「っ、」 途端に由の眉間にしわが寄り、蜂蜜色がぐっと濃くなった 「…ひっ、ぁ、」 息ができない 指先一つ動かせない 体は震え声は擦れ 目を見開き失神寸前だった これが由のグレアなのだとあとで気がついた
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