第二章

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「...ぁっ、あ」 「うん、結構うれしいかも、名前で呼ばれるの。こんなにかわいい晶が見れて俺もちょっと興奮してきちゃった」 由から目が離せない 強烈な倦怠感にも似た体の疲れ 体に力が入りすぎてすごく苦しい 「晶、ステイだよ、わかるね。自分で触っちゃダメだよ」 腕を離され、体は自由だ どうしても触りたいのを咎められていたものも今はなく、自由のままに思い切り自慰をすることだってできた なのに、由のステイの一言でそれもできなくなってしまう 理性を上回る本能 それをも自由自在に操ってしまう由、強いドムとはこれほどのものなのか 「っ、ゆぃ、!」 「はいはい、触ってあげるね」 躊躇のない手つきでズボンを下ろされる 一瞬だったはずなのに、ものすごく長い時間に感じるその間もシーツを掴んで耐えることしかできなくて 「うん、もう結構いい感じだね」 パンツの上からやわやわ揉まれると、それだけで足がビクビクと跳ね、達してしまいそうだった ツーっと先端を撫でられて、そのもどかしさに本格的に泣き出してしまいそう 「、ぅぁ…はっ、」 「晶はどこが好き?」 そんなの答えられない だって全部好きだ 由が触るところ全てが気持ちよくて、好き パンツの中に入ってくる冷たくてゴツゴツした手、片方の手は俺の額を撫でてくれていて、火照ってどうしようもなかったのも少し落ち着いた 男は嫌いだったはずなのに、この時ばかりは彼の冷たい手が有り難かった 「っあぁ…!」 フェザータッチしかしてくれなかったそこをやっとちゃんと触ってくれて、それだけで天井が見えた 優しく、それでも少し力を込めて昂められる 「っ、むりっ…!ゆぃっ、!」 あまりの気持ちよさに頭を振って衝撃を逃す 他人に局部を掴まれるということは生物的に大きな危機感や恐怖を感じるもので、心を許していないと決してできるものではない しかしこの時は相手がドムだとか男だとかを気にしている余裕がなく、ただ快感を追うだけで必死だった 一つ強い閃光が脳内を駆け巡り、自分が射精したことを悟った あまりの快感に意識を手放しそうだったが、脱力してベッドに沈むだけで済んだ ここにきてからきちんと食事をしているため体力が付いたのかもしれない 「はいおしまいっ、上手だったね」 ぽんぽんと頭を撫でる由を脱力した手で無理やり振り払う 「、っ!」 頭の快楽の靄が晴れて状況を理解すれば、下半身丸出しでベッドの上で蹲る自分と手が精液で汚れた由、羞恥と屈辱で顔が真っ赤になった 「…っ、一人でできたっ!」 「でもお願いしたのは晶だよ。まさか自分で言ったこと忘れちゃったかな?」 ぶわっと蘇る少し前の記憶 「っ、あれは、お前が無理やりっ!」 途端に鋭くなる由の眼光と緊張感に静止してしまう俺の身体 「晶、俺のことなんて呼ぶんだっけ?」 手につく精液を拭きながら、こちらを見つめる由は少し怒っているようにも呆れているようにも見えた
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